工藤公邦、九州からの刺客を一蹴:BOUT-ZERO 1

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 格闘技イベント「BOUT」を主戦場とする若手キックボクサーのなかで最も旬な男は誰か。それはBOUT陣営の副将として登場した工藤公邦ではなかろうか。
早くからカミナリモンやチャレンジ・カラテ・トーナメント等のアマチュア大会で腕を磨き、先に行われたJ-NETWORK主催のアマ全日本優勝の実績を引っさげてプロに転向した 蹴空ジムのエース。

「KO以外はいらない」をスローガンに続々と優良な若手キックボクサーを育てている蹴空ジム。
代表の伊藤氏からは当然の如く”KO指令”が出ていたという。

対する名門・リアルディールの副将、森谷孝之も先鋒戦勝利の波に乗り、「勝って当たり前」と言わんばかりの表情。セコンドにつく名伯楽、畔田聡氏の自信ありげな表情がなんとも不気味だ。

「とにかくデータが全くなかったので不気味でした。見た感じは消極的な感じをうけました」

そう回想する工藤は今回、前蹴り、左ミドルによるボディ攻めをテーマとし、2Rの終盤にはKOするプランを立てていたという。

1R、作戦通りに前蹴りでボディを狙う工藤。パンチに合わせた左ミドルも、工藤曰く、「集中的に訓練したパターン」であった。
目を見張ったのは歴然としたパワーの差だ。本当に同じ体重なのかと疑ってしまうほど、両者の体格・パワーには差があるように見えた。森谷はこの前蹴りによって何度も後に吹っ飛ばされてしまう。  

負けじと後蹴りを放つ森谷。しかし、この変則攻撃によって逆に工藤にナメられる結果となってしまった。「でも前に出てくる圧力は相当のものでしたよ」と試合後に工藤が語る。

なるほど、たしかに見た目の印象とは裏腹に、森谷の前に出る圧力は強かった。「これは」といった技はないのだが、とにかく凄まじい勢いで突進してくるのが森谷のスタイル。

前蹴りを喰らうたびに後に吹っ飛ばされているのだが、顔色を変えずガンガンと前に出てくる森谷。この圧力には工藤も面食らったようで、距離の調整には手こずったという。

それまでコンスタントに出ていた前蹴りが影を潜め、両者が抱き合う膠着状態が多くなってくる。
ロングレンジからのボディ攻めをテーマとしていた工藤も、さすがに作戦変更を余儀なくされたようだ。

積極的に首相撲に付き合い始める工藤。タイ人ばりに森谷を転倒させる場面も。チョンチョンと繰り出す膝蹴りでタイミングを合わせ始める。  

そして森谷がパンチのモーションにはいった瞬間、「待ってました」とばかりに膝蹴りをボディへ叩き込んだ。ワカメのように力なく崩れ落ちる森谷。そのダメージたるや、写真の苦悶の表情からもお分かりいただけよう。

思えば、接近戦での膝蹴りの攻防は工藤の得意とするところである。アマチュア時代から、その膝蹴りで数多くのKO劇を演出してきた。
今回の試合、前蹴りや左ミドルにこだわったのは、テクニシャンへの脱皮を切望する工藤ゆえに、あえて得意のパターンを封印し、よりハイレベルなテーマを課していたという背景は容易に想像できる。  

よって、森谷が執拗に接近戦を挑んでくることに関して言えば、工藤にとっては「飛んで火に入る夏の虫」だったのである。格の違いを見せ付けた一戦だったといえよう。

写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ

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山田 タカユキ

山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。愛読書はさいとうたかおの「鬼平犯科帳」。
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