日本が世界に誇るタイトル・ホルダー、TOMONORIと、英国のムエタイ・エリート、エヴァン”ザ・エスター”ジェイズが激突するISKA世界ムエタイフライ級王座決定戦の開催まで残すところ一週間となった。
同級4位のエヴァン・ジェイズはタイ在住の経歴もあり、英国ではもっとも旬な若手ホープ。組み膝・肘打ちありのムエタイルールで行われる試合だけに、両者ともに本領を発揮する至高のテクニック合戦に期待したい。
ファイターズ・インタビュー第39回は、東京での調整から戻ったTOMONORIを札幌での本拠地・GRABSに訪ね、直前の心境を聞いた。その模様をお伝えする。
本拠地・GRABSには獲得したベルトの一部が飾られている。
8本目のベルト。初戴冠のISKA
ISKAの世界戦がいよいよ迫ってきました。会長にとっては8本目のベルトになるわけですが、それぞれのベルトで思い入れも違うものですか?
そうですね、前回のWBCのベルトは前から欲しかったベルトなんで感慨深いですね。でも、ISKAのベルトもカッコいいし、まだ獲得したことがない団体なんで楽しみですよ。
世界戦へ向けての調整具合はいかがですか?・・・・といっても初めての世界戦じゃあるまいし、野暮な質問だとは思うんですが(笑)。
まぁ、そうですね。世界戦といっても普通にやってるだけですね(笑)
特に意識したポイントってありますか?
スパーを少なめにして、感覚的なマスを多めにやってきました。ガチガチのスパーリングは少なくして、感覚とタイミング重視ですね。
東京での確認作業も上々
先日まで東京のほうで現役の日本チャンプであるMOMOTARO選手、能登選手などと調整されてましたね。
いい刺激になりました。勢いのある若い選手と一緒にやって普通に動けたんで、まぁ、一安心といったところです。
ベテランの会長といえども、札幌だけでの調整では厳しい部分がありますか?
ありますね。いま言ったように勢いのある選手との確認作業がひとつ。それから僕のカラダのメンテナンスをしてもらってる治療院が東京にあるんで、そこでの確認作業も欠かせません。
対戦相手・エヴァン・ジェイズ(右)の経歴は謎のままだ
対戦相手・エヴァン・ジェイズ選手ですが、どのような印象をお持ちですか?
まぁ、ムエタイができる選手なんで、普通に噛み合いますよね。タイで住み込みでやってるって聞いていますが。
映像を見た限りでは”恐さ”というのは感じないですね。
うん。あとは組んだときの体幹の強さとか、そういったものでしょうね。
3月に発表された時点ではポール・ダ・シルヴァとの対戦が決まっていましたが、直前で変更となりました。
残念といえば残念ですね。やっぱりシルヴァとやるのがベストだったと思っていますので。それでも、個人的にFacebookで繋がっているので、お互いにメッセージのやり取りはしたんですよ。
すべてを出し切る。それだけ
やはり、日程的なものが厳しかったんでしょうか。
彼も子供が生まれたり、ジムの経営なんかもあってで忙しいみたいでしたが、「次は必ずやろう。それまでベルトを守って見せるから」って言ってくれました。
今回の試合で勝ったらシルヴァとの再戦を望むファンも多いと思いますが、そういったファンの感情というのはプレッシャーになりますか?
そういったものはないですね。出し切ったらいつでも終われる覚悟ができていますので。
精神的なものも技術的なものも全部出し切って、自分自身、納得できるファイトをしたいというわけですね。
はい。昔だったらあの団体のベルトが欲しいとか、あそこのジムの誰々と試合がしたいとか、そういった感情があったんですけどね。いまでは対戦相手の映像を見てても、「俺だったらこう戦う」っていう見方だったものが、「この選手はここを直せばもっと良くなるのに」っていう見方に変わってきてるんです。
調整の合間にもジム生への指導をかかさないTOMONORI
選手目線ではなくトレーナー目線で見てしまうと。
そうです。だから「このベルトが欲しい、この選手とやりたい」といったものは無いんです。自分のすべてを出し切る姿を見てほしい。
今回のセコンドはタイ人トレーナーのボー氏が務めます。ルールもムエタイルールで、昨年7月のWBC戦とまったく同じ。具体的なプランは出来上がっていますか?
ボーは、「おそらく相手は組んでくるだろう」って言ってますけどね。それを鵜呑みにせず、いつもどおり削って削って最後は仕留めたいです。プラン的には勝負をかけるラウンドも決まっています。楽しみにしていてください。
わかりました。それでは世界戦当日を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
【TOMONORI プロフィール】1977年、札幌市出身。本名・佐藤友則。WMCインターコンチネンタルフライ級王座、UKF世界バンタム級王座、WBCインターコンチネンタルフライ級王座等々、獲得タイトルは多数。本場ラジャダムナン、タイ国王生誕記念試合等で幾多のKO勝ちを収めているところも、日本人としては特筆もの。現在は札幌市東区に自身のジム「grabs」をオープンし、後進の育成に力を注いでいる。
ジム・道場データ
- ジム名称:GRABS KICKBOXING STUDIO
- 所在地:札幌市東区北14条東10丁目4-16-1F
- TEL:011-731-3232
- WEBサイト:https://www.grabs-kick.jp/

山田 タカユキ

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