本州勢に見た”職業意識”:BOUT-ZERO 5

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 2015年9月13日に行われたBOUT-ZERO 5。上の画像はメインでAKINORI選手と戦った小山寛樹選手(右)です。思いっきり右のパンチを叩き込んでいますが、じつは小山選手、試合の10日ほど前に右の拳を骨折していました。

そんな状態で試合をすることには賛否両論あるでしょうが、その是非はさておき、注目したいのは「イベントに穴をあけてなるものか!」という姿勢をみせてくれたこと。

イベントに穴をあけるというのは、試合前に怪我をした、減量失敗による体調不良など、選手側の都合でイベントを欠場するということをいいます。

イベントに穴をあけるとどういったことがおきるのでしょうか。相手選手に迷惑がかかる?いやいやそれだけでは済みません。

まずは選手本人はもちろん、所属ジム、窓口になったプロモーターの信用が著しく損なわれます。プロモーターは団体や相手選手の所属ジムまでいって謝罪しなければなりません。もちろん飛行機代等の経費は自腹です。

つぎに、「あそこのジムは穴をあけるぞ」という情報が業界内に知れわたりますので、試合のオファーが来なくなります。これは選手ベースではなく、ジム・道場ベースで来なくなりますから、要するに一緒に汗をながしているジムメイトにもオファーが来なくなるということですね。

だから、小山選手が骨折をおしてリングにあがったということは、ただの酔狂ではなく、それだけ周りのことを考えて行動したということなんです。

こういった背景がわかってみると、小山選手が1Rに狂ったようにラッシュをかけた意味も違ってみえてきます。

骨折により3Rのフルファイトには耐えられないと判断した小山選手は、あそこで決めにいったのではないでしょうか。しかし、決めることはできなかった。

敗北を覚悟しながらも、3Rまで全力で戦った小山選手は男らしかったと思います。”さすがは魁塾”といった散り際でした。

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そして上の画像は第一試合に出場した、ストライキングジムAresの宮田選手。今回は残念ながら、大地選手にKO負けしてしまいました。

じつは今回、大地選手と戦うのは、同じストライキングジムAresの別の選手だったのですが、その選手が欠場せざるを得なくなったため、代打での出場ということになったのです。

欠場選手が出たら、すぐに代打を指名してくる。ここでもストライキングジムAresさんの「イベントに穴をあけてなるものか!」という姿勢がみてとれます。

しかも宮田選手は今回がデビュー戦で、代打指名がきたのが試合の2週間前。デビュー戦の選手に、このような”ムチャぶり”をしなくてはならなかったところに、ジム側の切迫度が伝わってきます。

宮田選手も正直、やりたくないと思ったとおもいますよ。しかし、ジムの信用問題、ひいてはジムメイトの将来にまで影響する問題だとわかっているから出てきてくれたのです。

前述したように、相手選手に迷惑がかかるとか、そんなことで済まされる問題ではありません。ビジネスに置き換えるなら、手形で不渡りをだしたのと同じですから、ジム・道場ベースでどこからも信用されなくなるのです。

今回のイベント、戦績だけでみると5戦3勝2引き分けで道内勢の勝利ですが、本州勢から学ぶ点は、まだまだ多いように思われます。

最後になりますが、例に挙げたお二人がエライといっているわけではありません。こういった”職業意識”を持っているのが普通だという話をしたのです。その点は誤解なきように。

写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ

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山田 タカユキ

山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。愛読書はさいとうたかおの「鬼平犯科帳」。
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