道内で最も歴史のあるアマチュア競技会「カミナリモン」。
夜間に行われるプロ格闘技興行「BOUT」に先立って行われる競技会だけに、プロ選手と全く同じ環境で試合を行えるのが最大の魅力だ。
BOUT-27のビッグイベントを挟んだため、半年ぶりに行われた今大会。GRABSやエス・ジムといった常連ジムからの参加が少なく盛り上がりが危ぶまれたが、チームシャムエボルヴが選手を大量投入し、熱戦を展開。また、旭川のHLCGYM、小樽のチームコンバットが迫力の重量級ファイトで観客を沸かせた。
今回のMVPは大澤辰徳(蹴空ジム)が受賞。ベストファイト賞に小笠原健吾(蹴空ジム)、ベストスピリット賞に高谷圭吾(チームシャムエボルヴ)がそれぞれ選ばれた。
以下、熱闘15試合をダイジェストでお伝えする(※は二試合する選手)。
第1試合 ジュニアAクラス -45kg
×長瀬歩眞(HLC GYM)※
○星久保将城(蹴空ジム)
旭川の天才児・長瀬がカミナリモン初見参。ジュニア番長・星久保(画像右)と対戦も、超接近戦の攻防に泣いた。星久保は首相撲の攻防で、差を見せつけた。
第2試合 Cクラス -60kg
×福田尚広(WSR札幌)※
○高槻洋介(フリー)
福田が順調にポイントを奪っていたが、肩の負傷で不運のドクターストップ。高槻(写真左)の勝利となった。福田は勝利が濃厚だっただけに残念。
第3試合 Cクラス 重量級
○星原弘章(HLC GYM)※
×中山和明(札幌道場)
HLCと札幌道場のヘビー級対決。ポイントを先取したのは中山だったが、星原(画像右)がメガトン・フックで逆襲。ポイント6-3で勝利した。
第4試合 Bクラスノースルール -55kg
○木村靖成(蹴空ジム)※
×北川 忠(札幌道場)
驚異のシニア戦士現る。木村(画像左)が破壊力抜群のローキックで北川の戦意を喪失させた。シニアでこの攻撃力は反則だ。
第5試合 Bクラス -60kg
×山中翔太(GRABS)※
○田嶋優樹(チームシャムエボルヴ)
GRABSとシャムエボルヴの大激闘。山中優勢のまま終わるかと思われたが、後半に田嶋(画像左)がパンチでダウンを奪い激戦を制した。田嶋はローキックに頼らない新境地を披露。
6試合 Bクラス -65kg
○大澤辰徳(蹴空ジム)※
×諸井竜也(チームシャムエボルヴ)
MVPを獲得した大澤(画像右)の一試合目。風車のような連打で諸井を寄せつけず、1Rで貫禄勝ち。諸井も決して悪い選手ではないが、相手が悪かった。
第7試合 Bクラス -55kg
○冨田春人(WSR札幌)
×大島康之(チームコンバット小樽)
リングサイドで観戦したスポーツライター・布施鋼治氏がベスト・バウトに選んだのがこの一戦。富田(画像右)はテクニカルで、最もキックボクシングらしい試合を展開した。
第8試合 ジュニアAクラス -50kg
×谷川龍太(WSR札幌)
○小笠原健吾(蹴空ジム)
毎回、メダルを獲得する小笠原(画像右)が接近戦でも強さを発揮。首相撲とヒザ、ショートアッパーでペースをがっちり握った。最後はパンチで谷川をKO粉砕。
第9試合 ジュニアAクラス -50kg
×長瀬歩眞(HLC GYM)※
○藤田萌生(蹴空ジム)
蹴空ジムの新鋭・藤田(画像左)が登場。パンチ・キック・組みヒザとオールラウンダーぶりを発揮した。旭川から参戦の長瀬が二戦目に挑むが、カミナリモン初勝利ならず。この身長差でよく戦った。
第10試合 Cクラス -75kg
○國方一騎(フリー)
×高谷圭吾(チームシャムエボルヴ)
初参戦の國方(画像左)がメガトン・フックで、高谷のテクニックを粉砕。あっという間の1Rノックアウト勝利だった。
第11試合 Cクラス -65kg
×高槻洋介(フリー)
○仲川洋平(フリー)
中盤まで高槻がポイントでリードしたが、仲川(画像右)は落ち着いた試合を展開。徐々にペースを握り、7ポイント先取の大逆転勝利をおさめた。
第12試合 Bクラスノースルール -55kg
○木村靖成(蹴空ジム)※
×鈴木清作(札幌道場)
一試合目で驚異の攻撃力を見せた木村(画像手前)が再登場。鈴木も2Rまで粘ったが、パンチにつかまり、あえなくKO負けとなった。
第13試合 Bクラス -60kg
○山中翔太(GRABS)※
×小山田 涼(チームシャムエボルヴ)
GRABSからただ一人参戦の山中が二戦目に挑む。一試合目と同じくシャムエボルヴとの大激闘となったが、山中が僅差で勝利。試合後に抱き合う両者が美しく、勝敗を超えた好試合だった。
第14試合 Bクラス -65kg
○大澤辰徳(蹴空ジム)※
×白木 幹(WSR札幌)
蹴空ジムの秒殺王・大澤がふたたび登場。判定までもつれ込む予想外の展開に。大澤を相手に判定まで持ち込んだ白木(画像右)に敬意を表するべきだろう。
第15試合 Bクラス 重量級
×星原弘章(HLC GYM)※
○末廣智一(チームコンバット小樽)
小樽の重戦車・末廣(画像右)がひさびさのカミナリモン参戦。経験値の差で危なげなく判定勝ち。星原のパンチも破壊力抜群。経験をつめば怖い選手だ。
蹴空ジムの強さが際立った今大会
以上、熱闘15試合を紹介した。今回はGRABSやエス・ジムが不参加だったため、蹴空ジムの強さが一層浮き彫りとなった。他ジムがキックボクシングを攻略しようとしているのに対し、蹴空ジムはルールを攻略しているところが最大の違いだ。その視点を変えなければ蹴空ジムを攻略するのは難しいだろう。一方、チームシャムエボルヴ、WSR札幌の選手に全体的な底上げ感があり、次回以降の展開が非常に楽しみだ。
また、敢闘賞として谷川龍太(WSR札幌)、長瀬歩眞(HLC GYM)が選ばれ、実行委員会からのサプライズ・プレゼントとして、神童・那須川天心の直筆サイン&記念Tシャツが贈られた。このように、勝ち星が無いまでも地道に努力している選手にもスポットをあてるところが、カミナリモン札幌大会の粋なところだ。今回のようなサプライズは今後も継続していくとのこと。
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写真提供:RISEクリエーション
photo & text:山田タカユキ
山田 タカユキ
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