精鋭4名が決勝トーナメントへ
札幌の隠れた名伯楽・佐藤信一館長が率いる一信会館。北海道で唯一、K-1アマチュアジムの公認をうけている同会館は、k-1アマチュアの首都圏大会に的をしぼり、独自路線を突き進んでいるのは、以前にもご紹介したとおりだ。
その一信会館が今回照準を合わせたのは、9月3日に東京で行われた「第18回K-1アマチュア全日本大会予選トーナメント」である。今回はワンマッチ&トーナメントも合わせて180試合が組まれる充実ぶり。午前9時にスタートして終了したのが午後6時だというから、その選手層の厚さはご想像いただけよう。
この過酷なトーナメントに一信会館からは精鋭4名が出場。全員が決勝トーナメントに駒を進めるという躍進をみせた。今回は見事に決勝のリングへ駒を進めた4名にスポットをあてて、同大会の模様をお伝えしたい。
青木が決勝進出もドクターストップ
▲2015年の-55級Bクラスを制したときの青木惇人(画像右)。
Aクラスには、8月に札幌で行われた「第19回チャレンジカラテトーナメント」のグローブ空手部門で、連覇を果たしたばかりの二大看板、青木惇人と小島大輝がエントリー。
まずは、過去にK-1チャレンジ・-55級Bクラスを制し、2016全日本K-2グランプリでも決勝へ駒を進めた実績をもつ、青木惇人が-55kgトーナメントへ出場。青木は一回戦でKO勝ち、準決勝でダウンを奪い判定勝ちと、順調に決勝に駒を進めた。
決勝の相手は、過去に木村“フィリップ”ミノルが在籍していたことで知られるタナベジムの成長株・石橋凌。まだジュニアの面影がのこる石橋が相手であれば、青木の勝利は濃厚であったが、青木の拳の負傷に対してドクターストップがかかり、不運の不戦負けとなった。
凄ノ王は準決勝で惜敗。4強どまり
▲チャレカラを連覇した凄ノ王・小島大輝(画像中央)。
一方、”凄ノ王”の異名をもつ小島大輝は昨年末のカミナリモン札幌大会で、道内アマ最強の呼び声が高かった蹴空ジムの秒殺王・大澤辰徳を下し、最強の座を奪い取ったことは記憶に新しい。 今回、-70kgトーナメントに出場した小島は、一回戦で既にプロとして活躍している塩野恭平(hide’s KIck)からダウンを奪い判定勝ち。準決勝で優勝候補筆頭の吉田英司と対戦した。
吉田はREBELSを主戦場として活躍するプロ・キックボクサー。トレーナーとしても幅広く活躍し、昨年行われた一大イベント「JAPAN CUP 2016」では決勝に駒を進めた実力者だ。この吉田に対し、得意のパンチで挑んだ小島だったが、2-1の判定で惜敗。決勝トーナメントへの出場資格を得るだけにとどまった。
マスターズは金子・劔物が躍進。
▲ディフェンス能力に定評がある金子。ケガをおしての出場だった。
40歳以上がエントリーするマスターズ部門には、劔物忍と金子慎の同期の桜コンビが出場。まずは金子が-65kgトーナメントに挑戦した。
金子は一信会館では古参の会員であるが、もともと試合志向ではなく、デビューも昨年末のカミナリモン札幌大会である。このときの相手は蹴空ジムの秒殺王・大澤で、結果は2ラウンドTKO負け。
金子はシニアの選手でありながら、大澤を相手に秒殺をさせず2Rまで持ち込んだ。当時、関係者の間でもちょっとした話題となった人物なのである。
今回はそのディフェンス能力を武器に、準決勝で薄井竜一(クローバージム)と対戦。結果は3-0の判定負けで決勝トーナメントへの出場資格を得るだけにとどまった。
劔物忍が優勝&MVP獲得
▲優勝とMVPをダブル受賞した劔物忍。
そして最後に登場したのは-60kgトーナメントに出場した劔物忍。劔物は以前から地元のスパーリング大会やカミナリモン札幌大会などで腕を磨き、2014年からは首都圏の新空手、K-1アマチュアを中心にキャリアを積んできた選手。
劔物は一回戦で菅野健次(STB JAPAN)をKOで下して勢いに乗ると、準決勝では岩崎涼(フォルテス渋谷)に3-0の判定勝ちし、危なげなく決勝に駒を進めた。むかえた決勝での相手は「闘う社畜」の異名をもつ北澤範之(Flatup成田)。ナイスミドルなどの有名シニア大会で好成績を残している強豪選手だ。
序盤は北澤の突進力に手を焼いた劔物だったが、中盤に右ストレートをヒットさせると一気に畳みかけ、スタンディングダウンを奪う。結局、このポイントが決め手となって出場した4名のなかでは唯一、優勝&MVPの栄冠を手にした。
決勝トーナメントは12月3日
▲左より青木惇人、劔物忍、佐藤信一館長、金子慎、小島大輝
今回のトーナメントは、12月3日(日)に行われる「第5回K-1アマチュア全日本大会」の予選トーナメント。ベスト8に残れば決勝トーナメントへの出場資格が得られるため、全員がベスト4に残った一信会館勢は文句なしの進出というわけだ。
決勝トーナメントのAクラスで優勝すれば、「K-1」「Krush」「KHAOS」といったプロ興行への出場資格が得られるため、青木惇人と小島大輝には是非とも奮起してもらいたい。吉報を期待しよう。
写真提供:一信会館
text:山田タカユキ
山田 タカユキ
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