ノースエリア格闘技イベント BOUT-24
2016年9月4日(日)札幌市・コンカリーニョ
注目のメインは、BOUTの次世代を担うホープ・山川賢誠(札幌道場)が、キャリア最大の難敵・小笠原裕典(クロスポイント吉祥寺)を迎え撃った一戦。結果は3Rに山川がダウンを喫し惜敗、トップランカーの牙城は崩せなかった。
また、直前に対戦相手変更のトラブルに見舞われたAKINORI(蹴空ジム)は、デッド・ムンソフィト(カンボジア)に1R早々にダウンを奪われるも、3Rに逆転KO劇を演じて復活の狼煙をあげた。
その他、釧路の核弾頭・出口智也のランカー初戦、本場ムエタイ選手同士のエキシビジョン等々、真夏の札幌にふさわしい熱戦をダイジェストでお伝えする。
▼ムエタイ・エキシビジョンマッチ
アヌチャー・ボー・ラッサミーヤン(HAMA)
パッカシット・ウィラサクレック(ウィラサクレック札幌)
※エキシビジョンのため勝敗はなし
ズングリ体型の両者の入場シーンは微笑ましいものがあったが、試合が始まると一転、キレのあるミドルキックの応酬にどよめく会場。
キャッチからのこかし、スウェイバック、首相撲と、本場タイ人ならではのテクニックのオンパレード。3分では短いと感じたファンも多かったのではないか。
この試合に先立っては、特別レフェリーとしてこの試合をさばいたTOMONORIが、WBCムエタイ・インターナショナル王座の獲得をファンに報告した。
▼第1試合
RISE公式戦53kg契約3分3ラウンド
山田忠洋(ウィラサクレック札幌)
下野魁斗(新宿レフティー)
3Rドロー(山田1-0)
若手らしいアグレッシブさが噛み合った好試合。1R、山田がジャブと左の蹴りをコンスタントに繰り出し優勢にすすめる。
山田は左のジャブから左の蹴りへ繋ぐ玄人好みのコンビネーションを多用。「練習のあとがみられる」と関係者からの評価も高かった。
2Rにはいると下野が反撃。右のストレートで突破口をつくると、そのままロープ際まで押し込む場面が多くみられた。打たれ強さに自信のない山田だけにヒヤリとした場面も。
3Rは山田がボディへのヒザでスパート。ともに持ち味を発揮した対決は、ジャッジ一人が山田を支持。のこりの二人がドローとしたため引き分けとなった。
▼第2試合
RISE公式戦58kg契約3分3ラウンド
出口智也(RISEバンタム級7位・忠和會)
原島佑治(テッサイジム・札幌出身)
勝者:出口 判定3-0
出口がどのような内容でノックアウトするのか?その一点に注目があつまっていた一戦だが、原島がベテランの味を見せて判定に持ち込んだ。
1R早々にパンチでダウンを奪う出口。ボディブローを投入し決めにかかる出口だが、極端な前傾姿勢でガードを固める原島を捕らえることができない。
「1、2度のダウンやむなし」と覚悟を決めて来ている原島。ダウンを奪ったものの仕留め切れずに焦る出口に、原島のボディからロー、ハイキックが冴える。
58kg契約が出口の精密機械を狂わせたか?原島の善戦が光った一戦となった。
▼セミ・ファイナル
RISE公式戦ライト級3分3ラウンド
AKINORI(蹴空ジム)
デッド・ムンソフィト(カンボジア)
勝者:AKINORI KO 3R 0′38
AKINORIの対戦相手として急遽浮上したムンソフィトは、髪を七三わけにしたカンボジアの理系学生といった風貌。ぷくんとしたお腹からは強そうなオーラは微塵も感じさせなかったが、これがクセモノだった。
1R早々にAKINORIのパンチにあわせて鈍器のようなカウンターを見舞うムンソフィト。いきなりダウンを奪う。「話がちがう」といわんばかりに緊張がはしる蹴空陣営。
1Rのピンチを切り抜けたAKINORIは、2Rにはいると冷静にムンソフィトの体力を削りにかかる。得意のローキックを軸に上下に攻撃を散らすと、ムンソフィトは諦めモードに一直線。
3R、開始早々にAKINORIが2度のダウンを奪ったところで、ムンソフィト陣営はタオル投入。直前の相手変更をものともせず、BOUTの貴公子が復活の狼煙をあげた。
▼メイン・イベント
RISE公式戦バンタム級3分3ラウンドEXR1ラウンド
山川賢誠(札幌道場)
小笠原裕典(クロスポイント吉祥寺)
勝者:小笠原 判定3-0
派手さはないが小笠原のミドルがかなりのプレッシャー。わき腹を真っ赤に染めながらも、内もも、左ミドルでリターンを返す山川。1Rは手数で負けていなかった。
2R、得意の右フックを合わせはじめる山川だが、小笠原のミドルの前にいまひとつ踏み込めない。「ミドルで左ストレートも殺された」と語るのは札幌道場の小掘師範。後半はミドルを空振りさせたタイミングで攻め込み、ポイントを稼ぐ山川。
3R、ミドルを空振りした小笠原は、そのまま回転してバックブロー。出合い頭に被弾した山川は、尻餅をつくようにダウン。このダウンがなければ引き分けに持ち込めたのではないか。
山川自身「一番くやしい試合だった」と語った、まさに惜敗といえる内容。
写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ
山田 タカユキ
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