BOUT-15:激闘!シュートボクシング vs 正道会館

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ノースエリア格闘技イベントBOUT15函館大会
後援:函館新聞社 (株)ニューメディア函館センター
2013年10月20日(日)函館流通ホール

地元・函館出身の坂本優起がシュートボクシング王者となって初の凱旋。正道会館王者の平尾大智を相手に迎えた、SB対正道の一戦をはじめ、パンクラス公式戦、大道塾現役王者の参戦等、話題満載のBOUT第15回大会。

メインイベント:シュートボクシング公式戦エキスパートルール70キロ契約3分3ラウンド
○坂本 優起(シーザージム※函館東高出身)
×平尾 大智(正道会館)
判定3-0

 1R、序盤から乱打戦が展開され、会場は一気にヒートアップ。リーチを生かしロングの間合いで戦うことが予想された平尾だけに、この展開は予想外。終盤、坂本が持ち前の回転と馬力で、やや優勢にラウンドを終える。
 「進退をかける覚悟」で挑んだ平尾は2Rも前に出る。坂本の前進に合わせて繰り出す膝蹴りが絶妙。坂本もこの膝蹴りをものともせず前に出たのは立派。
 逆に身長差を逆手にとってレバーブローを叩き込む。平尾の膝蹴りが功を奏したのか、坂本がロープを背負う場面が目立ったラウンドだった。
 ほぼイーブンのまま迎えた3R。タイ人トレーナー・ダムさんが厳しい檄を飛ばすなか、坂本が勝負に出た。
 平尾が接近してくるのに合わせて執拗に投げを打つ。いずれも完璧には決まらずポイントにはならなかったが、起き上がる際の平尾の表情には明らかに疲れが見える。
 中盤になると平尾の手数は目に見えて減った。だが、なんら攻撃を繰り出すわけではないのだが、坂本の胸元に頭を押し付けて決して後退しない姿には、この試合にかける平尾の覚悟が伺えた。
 ハイライトは坂本のアッパーがアゴをとらえた場面。長身の平尾の腰がグラリと折れる。誰の目にも坂本優勢を印象付ける場面だった。判定はジャッジの1人目がドロー。そのまま延長に突入かと緊張が走ったが、残りの2人は坂本を支持した。

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セミファイナル:パンクラス公式戦ミドル級5分2ラウンド
○武田 光博(ベラトレオ函館)
×黒木 慈仁(ノヴァウニオンジャパン)
判定3-0

 これまで道内で開催されたパンクラス公式戦は、道内ジム所属の選手で組まれていた。今回の試合が初の道内勢vs本州勢となる。武田が意地を見せるか、注目が集まった一戦。
 試合が始まると黒木は、左右の拳をふるって襲いかかる。巨漢同士の殴り合いは迫力十分かに思われたが、場内の反応はいまひとつ。国内トップクラスのストライカー達が、その華麗な技術を披露したあとだけに、打撃戦で会場を沸かせろというほうが酷なのかもしれない。
 打撃戦を嫌う武田は、テイクダウンして有利なポジションを取りたいところだが、逆に脇を差されてロープ際に詰められてしまう。確実に武田の良さを消しにかかる黒木。しかし、この膠着状態があまりにも長かった。
 結局アクションが見られたのは最終ラウンドに黒木がテイクダウンした場面。トップポジションを取った黒木だが、このあとも対戦相手に密着したまま、いたずらに時間を浪費する、いわゆる”塩漬け”状態がつづき、終了のゴングが鳴るまでこれといった攻防は見られなかった。

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パンクラス公式戦ライト級5分2ラウンド
○竹内 幸司(HLC)
×阿仁鬼(パラエストラ札幌)
判定3-0

 両者は7年前に開催された格闘技イベント「バトル・ミックス」にて対戦し、竹内が判定勝利を手にしている。今回はリベンジを狙う阿仁鬼と、返り討ちにしたい竹内が激突する一戦。
 打撃力に勝る阿仁鬼を、竹内がいかにグラウンドに持ち込むか。大方の見方はその一点に絞られた。が、試合が始まってみると、竹内は堂々と打撃戦を戦って見せた。
 出鼻に左ストレートを叩き込みたい阿仁鬼だったが、いやらしいタイミングで繰り出される蹴撃のまえに攻め込むことができない。しかし、阿仁鬼もやられっぱなしでいるわけにはいかない。ローキックも織り交ぜてタイミングをはずしながら、得意のパンチで攻勢にでた。一撃必倒の破壊力をもつパンチが、執拗に竹内のアゴを襲う。
 終盤、竹内は阿仁鬼の左ストレートをスリップしてバックに回ると、アッという間にテイクダウン。胴体に巻きつけた脚をガッチリとフックする。そして、前回の函館大会でも一本勝ちを奪った必勝パターン、バックチョークへ。残念ながらタップは奪えなかったが、竹内の試合巧者ぶりを印象付ける一戦となった。両者の持ち味が発揮された好ファイトであった。

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シュートボクシング公式戦エキスパートルール60キロ契約3分3ラウンド
×石澤 大介(RISEスーパーフェザー級6位、パラエストラ札幌)
○末廣 智明(2013北斗旗全日本空道体力別選手権大会優勝、大道塾吉祥寺支部)
判定2-1

 試合は1Rから末廣ペース。開始1分ほどは石澤も喰らいつく姿勢を見せたが、中盤には末廣の左ミドルの前に完全にペースを掌握されてしまう。前蹴りと混ぜ合わせて蹴られると、”ヒザブロック不要主義”の石澤にはなす術がない。
 2Rに入ると、危険技”タイナー”の投入を始める。タイナーとは、相手の蹴り足をホールドした状態でロープに押し込み、ロープと自身の膝蹴りとで、相手の身体をサンドイッチしてしまう技だ。その危険度ゆえに、海外では禁止技としているリングもある。そんな危険技の集中砲火をかいくぐり、命からがら自軍に引き上げる石澤。だが、意外にもボディブローに手応えを感じていたという。
 迎えた3R、石澤は決死の反撃を試みる。それまで石澤に何もさせなかった末廣が、ロープを背負う場面がでてきた。流れを修正したい末廣は、退くまいと暴れる石澤を無理矢理ロープに押し込むが、そのとき不自然に身体が開いてしまう。その瞬間であった。石澤の左フックが末廣の顔面を打ち抜いたのである。腰から崩れる末廣。関係者の度肝を抜いた衝撃のダウンだった。
 再開後も追撃の手を休めない石澤は、ここで得意技のハイキックを繰り出す。もう半歩踏み込んでいれば、5.26の再現もありえた角度だっただけに悔やまれる当たりだった。判定は2-1で末廣が逃げ切ったが、石澤の大善戦が光った一戦だった。

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ドリームエキシビジョンマッチ
TOMONORI(OGUNIジム、キックボクシング六冠王)
超強豪選手
※エキシヴィジョンのため勝敗無し

 BOUT函館大会お約束のエキシビジョンマッチには、キックボクシング世界チャンピオン・TOMONORIが登場。注目は対戦相手の”ミスターX”だ。大会パンフレットには超強豪選手と記載されていたが、一体誰なのか。
 試合が始まっても覆面を着用したままのミスターX。開始早々にTOMONORIの左フックをカウンターで被弾したミスターXは、その振り抜きの強さに戸惑った様子を隠せない。実力的に世界チャンプの相手を務めるには役不足、そんな印象を周囲に与えた。
 ミスターXの正体が判ったのは2R。自ら覆面を剥ぎ取ると、その下から現れた顔は、なんとTOMONORIの愛弟子・黒ひげ危機一髪!!であった。その後も単なるエキシビジョンを逸脱した世界チャンプの猛攻に「話がちがう」と言いたげな困惑の表情を見せる。数度のダウンを繰り返すも、いずれもレフェリーが「スリップ」としか判定しないアクシデントも加わり、地獄の2ラウンドとなった。

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オープニングファイトRISEルールライト級3分3ラウンド
○AKINORI(蹴空ジム)
×山岸 竜士(INSNITY)
2R1分38秒KO

 1R、なかなかの当たりの強さを見せる山岸。AKINORIはこの猛攻にも冷静に対処。特にローキックのあとに前蹴りをフォローする動きは、これまでのAIKINORIには見られなかった。ローキックに合わせてパンチをヒットさせたい山岸は、この前蹴りによって出鼻を挫かれてしまう。
 山岸の当たりの強さを見切ったAKINORIは、安心感をもってローキックを合わせる。フェイントを使わず、素直に前に出てくる山岸の前足は、格好の餌食となった。2R、ローキックでダウンを取ったAKINORIだが、そのあとの詰めも良かった。パンチとロー、それにボディブローも混ぜ合わせ、的を絞らせない。結局、2度目のダウンでレフェリーが続行不可能と判断、試合をストップした。

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オープニングファイトRISEルールバンタム級3分3ラウンド
○山川 賢誠(士道館札幌道場)
×藤田 成保(T-PLEASURE)
2R1分44秒KO

 山川は、9月に行われた「BOUT-ZERO」での秒殺KO劇を認められ、プロ昇格を果たした士道館札幌道場の若手ホープ。今回がプロデビュー戦。対する藤田は、青森を拠点に活躍するMMAファイター。キック vs 総合格闘技という図式に熱戦が期待されたが、試合は一方的な展開だった。
 1R早々に得意のパンチでダウンを取った山川は、その後もローキックを蹴りたい放題。防御ができていない藤田は、2R中盤には脚をおさえてコーナーに座り込んでしまった。そのままセコンドのタオル投入で万事休すである。

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その他の試合は以下の通り。

オープニングファイト BOUTアマチュアルール2分3ラウンド
竹内 直矢(ベラトレオ函館)
斉藤 翔吾(Grabs)
※斎藤の発熱によるドクターストップで試合中止

写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ

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山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。