BOUTに現れたアナキン:BOUT-21を振り返る

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「まるで映画の世界にいるようだったわ・・・」

イベント会場から退出する際、初のBOUT観戦とおぼしき女性客が漏らした一言である。

2015年12月6日に札幌コンカリーニョでおこなわれた、打撃格闘技のフェザー級道内最強を決める賞金トーナメント「カリア Presents Northen Supernova 2015」は、優勝候補が相次いでリングに沈む大波乱。加えて、7試合中5試合がKO決着。これでもかと繰り返される大の字ノックアウトに観客は酔いに酔った。

この真冬の札幌で、会場内の温度が27℃まで上昇するといった異常事態にまで発展した原因は、なんといっても今大会の台風の目、ダークホース・畑中健太(蹴空ジム)の活躍だろう。

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一撃必倒のフックを武器に、優勝候補のツートップだった永山敬之と山川賢誠をリングに沈め、その天真爛漫さと、茶目っ気たっぷりのファンサービスで観客を味方につけることに成功すると、あれよあれよという間に決勝の舞台に駆け上がった。

大会パンフレットに載せられたトーナメント予想で、畑中の名前をあげた識者は皆無である。筆者も準決勝までは進むと予想したが、まさか決勝まで駒を進めるとは考えもしなかった。まったく脱帽というほかない。

もし、畑中がトーナメントに参戦していなかったら、これほどの盛り上がりをみせることはなかったのではあるまいか。そう考えてみると、工藤卓也の欠場から始まった直前での組み合わせ抽選会等のドタバタも、すべて必然だったといえる。

なぜなら、予定通りに工藤が出場し、当初の組み合わせで事が運んだならば、出口vs畑中のカードは1回戦で実現しており、畑中は姿を消していたかもしれないからだ。

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今大会が異常な盛り上がりをみせた原因をさらに付け加えるならば、大挙して来場した畑中の応援団の存在があげられるだろう。

所狭しと会場を埋め尽くした畑中応援団。確認したわけではないが、畑中がさばいたチケット枚数は、参加選手の中でもトップに近いものであったはずだ。

イベントの盛り上がりというのは、来場した観客の質にも左右される。地味で盛り上がりにかける客層では困るが、逆に盛り上がりはするが行儀の悪いブラックな客層であっても困る。
その点、畑中の応援団は地味でもなく、かといってブラックでもなく、絶妙なさじ加減で盛り上がるのである。

「BOUT」という道内最大の格闘技イベントは、選手が繰り広げるクリーンファイトはもちろんのこと、このような優良かつ健全な客層に支えられていることを忘れてはならない。

そういった意味で畑中は、リング上でのパフォーマンスは言うに及ばず、興行的な面での貢献度でも欠くことのできない存在だった。今回のトーナメントで優勝したのは確かに出口智也だが、この日の”主役”は畑中健太なのである。

次回からはBOUTに現れたアナキン・スカイウォーカー、畑中健太の出世試合、永山敬之戦山川賢誠戦を振り返ってみたい。

写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ

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山田 タカユキ

山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。愛読書はさいとうたかおの「鬼平犯科帳」。
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