grabsから異色のプロ戦士誕生。弁護士&マスクマンが語るプロテスト | grabs・山田敬之さん、謎のマスクマンさん

キックボクシングスタジオ・grabsから新たにプロ戦士が誕生!インタビュー第28回は、メジャー団体NJKFのプロテストに見事合格した山田敬之さんと謎の覆面戦士Nさんが、今後の抱負を語りました。

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GRABSから異色のプロ戦士が誕生

――今回は対談ということでお集まりいただきました。山田選手は弁護士としてご活躍、Nさんは顔出しはNGですので、謎の覆面戦士ということでご登場いただき、異色の経歴をもつプロキックボクサーの対談ということになりました。まずはプロテスト合格、おめでとうございます。

 山田:ありがとうございます。よろしくおねがいします。

――異色の経歴をお持ちのお二人ですが、キックボクシングを始めたきっかけはなんだったんですか?

 :僕は会社の先輩に連れられてジムに顔を出したのがきっかけですね。もともと、バドミントンをやっていたんですが物足りなかったんですよ。身体がぶつかるような激しいスポーツを求めていたので、すぐに剣道に転向して12年間それ一本。その次がキックボクシングでしたね。

 山田:N君のスパーリング見てると、剣道の動きがでてるよね。踏み込みが早いんで、最初にスパーしたときに面食らったのを憶えてる。

――同感です。ミット打ちなんか見てても、踏み込みが独特でしたから。山田選手はどちらではじめたんですか?

 山田:いとこがプロキックボクサー(元全日本キックボクシング連盟フライ級王者・山田隆博さん)だったんです。応援で試合会場に足を運んでいるうちに、自分でもやってみたいなって思いはじめて。実際に習い始めたのは、留学先のアメリカでキックボクシング部に入部したのが始まりです。

――アメリカ!?それは面白そうですね。向こうのキック部って、試合はムエタイスタイルなんですか?

 山田:いえ、肘なし・首相撲なしですね。おまけに屋外で試合をするので、近隣の住民から苦情がでて、警察を呼ばれたりして(笑)。試合をする前に、イベント自体がお開きになることもありましたよ。

 :きついですね。必死に減量した甲斐がないじゃないですか。

 山田:計量なんてないんだよ。当日、試合場にいって、同じくらいの体格の選手をみつけて「この選手とどうだ?」みたいな交渉をトレーナー同士でするわけ。超アバウトだよ(笑)。

 :アメリカにも出稽古ってあるんですか?

 山田:あるよ。同じキック部にいた女の子が、部活動とは別に街中のジムに通っていてね。そのジムが、過去に大道塾の加藤清尚さんが在籍していたトディージムだったわけ。早速、女の子の紹介で通い始めたよ。

――トディージムの雰囲気はいかがでしたか?

 山田:良かったですよ。会長さんが、面倒見のいい方でしたから。自宅に招待してくれて、食事なんかもご馳走になりました。大切な思い出です。

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いよいよ、プロテスト当日

――grabsでの練習を拝見しましたが、みなさん楽しそうでしたね。いつもあんな感じなんですか?

 山田:和気あいあいとした雰囲気にハマる会員さんが多いですよね。僕なんかも趣味の域を完全に超えちゃってますから。

 :でも、今日は山田さんのボディブローで悶絶しかけました。あれは楽しいどころの騒ぎじゃないですよ。

 山田:知ってる。効いてるのわかったもん(笑)。

 :あと、今日みたいに会長がマス・スパーで胸を貸してくださるときは、緊張感しかないですよね?

 山田:でも今日なんてメチャクチャ手加減してくださってましたよ。会長ご自身が試合前になると、そういった手加減も減ってくるわけですが(笑)。

――Nさんは剣道歴12年でしょう?日本刀をもてば会長にも勝てるかもしれませんよ(笑)。

 :無理ですよ。睨まれただけで降参ですから(笑)。

 山田:僕は格闘技歴が長いですけど、会長とのマス・スパーでは今まで経験したことがない”痛み”に出会いますね。企業秘密なんで詳しくは話しませんが、ローキックなんか独特の場所を狙ってくるんです。ハイキックなんて何十回喰らってるかわからない(笑)。

 :大先輩の胸をお借りするときって、なにをされるかわからない恐怖があって、それだけで疲れちゃいます(笑)。

――本題のプロテストの話題に移りたいと思います。テスト会場は東京のOGUNI GYMでしたね。アウェイ感みたいなものは感じました?

 山田:TOMONORI会長がそばにいてくださったんで、そういったことはなかったですね。スパーリング試験の相手も、会長の知り合いだったんですよ。「なんだ、おまえかよ」とか喋ってるのを聞いて、気が楽になったというか(笑)。

――順序としては、筆記試験があって、基礎体力を見る試験もあるわけですか?

 :いえ、基礎体力のようなパートはなかったです。筆記のあと、すぐにスパーリングに移りました。スパーに重点をおく感じでしたよ。スパーリング試験の様子は、youtubeで見れるんですよ。これが山田さんです(スマホで映像を見せてくれるNさん)

――仕上がってるじゃないですか。山田さんパンチを見る目がいいんですね。

 山田:大学時代にボクシングの試合にでる機会があって、少しかじったんですよ。その名残ですかね。

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あのビールの味は忘れられません

――そしてこれがNさんですね。顔に似合わず、結構激しいスタイルなんですね(笑)。やはり、自分のスパーを待ってる時間って緊張するものですか?

 :いえ、このときはもう開き直ってましたよ。直前よりも前の晩のほうが緊張しましたね。眠れないっていうか・・・・。

 山田:N君の相手はなかなかの腕前だったよね。プロになってからガンガン活躍しそうな感じ。

 :おまけにサウスポーだったじゃないですか。山田さんがサウスポーに構えて練習に付き合ってくれてたんで助かりました。

――お二人ともいい感じじゃないですか。この時点で合格の手応えってあったんですか?

 :いえ、全然。僕、合否はあとから電話連絡がはいるっていうのを知らなかったんですよ。だから余計に不安で。会長が「大丈夫だから」って励ましてくれたのが救いでした。

 山田:そういえばさ、テストが終わってから会長と一緒に飲んだビール、メチャうまく感じなかった?

 :感じました!なんだかんだいっても、相当のプレッシャーを感じていたんだなぁって、そのとき思いましたもん。やっぱり、弟子としては不甲斐ない内容で、会長に恥をかかせられないっていうのもありましたし。あのビールの味は、忘れられません。

――やはり、grabsの看板を背負ってる気持ちはありましたか?

 山田:ありましたね。プロテストに限らず、grabsに出稽古にきた選手とスパーするときも、そういった部分は意識します。大学卒業したばかりの頃、他のジムに出稽古に行ってあばらを折られたことがあったんです。でも、それが普通だと思うんですよ。他のジムの選手とやるときは、それぐらいの緊張感をもってやらないといけない。

――それでは今後の試合に向けての抱負をお聞かせください。

 山田:試合前の調整をしっかりとやりたい。中途半端な仕上がりで試合に負けるのが、一番悔いが残ると思いますので。もし試合に出るとなれば納得のいく仕上がりでと、心に決めています。

 :僕は、G-ROUNDやカミナリモン等の大会にもチャンスがあれば出て行きたいです。ライセンスを取ったから満足するんじゃなく、貪欲に経験を積んでいきたいですね。

――今後の活躍に期待しています。本日はありがとうございました。

 山田:こちらこそ、ありがとうございました。
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ジム・道場データ

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山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。