北海道でついに公式ケージ使用のMMA(ミックスト・マーシャルアーツ=総合格闘技)がスタートする。
すでに関東地区でケージファイトはポピュラーなものになりつつある一方で、スクウェアリングを用いたMMAは減少傾向にある。パンクラスのナンバーシリーズはデカゴン(10角形の金網に囲まれた舞台)を使用している。
長らくリングにこだわり続けていた修斗も、昨年度よりついに公式戦でのケージ導入に踏み切った。それはそうだろう。世界最大のMMAプロモーション「UFC」を見れば一目瞭然。世界のMMAのスタンダードはいまやケージなのだ。
かつてケージは「バイオレンス」や「流血」をイメージさせるものだった。かつて国際プロレスが興行の切り札として札幌中島スポーツセンターで何度も開催した金網デスマッチなど、その最たるものだろう。
MMAに初めてケージを導入したUFCも、当初は逃げられない舞台での究極の闘いを見せるために考案したといわれている。しかし、紆余曲折を経てケージファイトはスポーツとして発展した。
そして、その過程の中でケージは逃げることを拒むフェンスではなく、選手たちが逆利用する”道具”として使われるようになった。
ケージに足の指を引っかけて自分の向きを変えたかと思えば、ケージを壁代わりにして立ち上がるなど、この闘いならではのテクニックはいくつも生まれている。
今回パンクラス札幌大会で使用されるのはUFCと同じ8角形のオクタゴン。対角線7mというスケールはUFCやパンクラスのオフィシャルルールをきちんと満たしている。
そのメインに赤コーナーから登場するのはウィラサクレックジム札幌に所属するパッカシット・ウィラサクレックだ。過去にBOUTで2戦全勝の在札幌ナックモエが初めてケージマッチに挑戦することになったのだ。
この一戦が決まるや、毎日パッカシットは「倒されてもすぐ起き上がる」「マウントを返す」「ヒジのヒザを入れるタイミングを計る」など、MMAの実戦練習に熱心に打ち込んでいるという。
もともと腰は重く、ムエタイでも片足をとられてもスリップダウンを奪われることはめったになかった。そのバランス感覚の良さはMMAでも活かされ、WSR札幌でパッカシットからテイクダウンを奪えるのは今年のネオブラットトーナメント参戦中の赤沢幸典しかいないというから驚きだ。
パッカシットの練習仲間は「ムエタイをやっている時よりも強い」と口を揃える。果たして札幌のムエタイの英雄はケージデビュー戦でどんな闘いを見せてくれるのだろうか。
text:スポーツライター・布施鋼治
【決定済み対戦カード】
▼パンクラス公式戦ライト級3分3ラウンド
パッカシット・ウィラサクレック(WSR札幌)
渡慶次幸平(P’s LAB吉祥寺)
▼パンクラス公式戦ストロー級3分3ラウンド
早坂優瑠(CORE QUEST KUSIRO)
藤田成保(T-Pleasure)
▼パンクラス公式戦ストロー級3分3ラウンド
ATCHアナーキー(パラエストラ東京)
魚住良太(メディウススポーツアカデミー)
▼パンクラスゲート・フライ級3分2ラウンド
竹内直矢(函館/Bellatleo)
孫崎達也(パラエストラ札幌)
▼パンクラスゲート・バンタム級3分2ラウンド
富田正美(忠和會)
後藤丈治(BOUT)
▼パンクラスゲート・フライ級3分2ラウンド
澤田 保(T-Pleasure)
関口直正(パラエストラ札幌)
▼パンクラスゲート・フェザー級3分2ラウンド
三上幸輔(ピラニアジム)
堀米克弥(パラエストラ札幌)
【 PANCRACE札幌大会2016 開催概要】
日時:2016年5月29日(日)17時開場 17時30分開始
主催:PANCRASE札幌大会事務局 電話:011-562-3291
場所:コンカリーニョ(札幌市西区八軒1条西1丁目ザ・タワープレイス1F)※JR琴似駅直結 駐車場無し
入場料金:SRS席:10,000円 A席:6,500円 (当日券は一律500円増し)
発売所:チケットぴあ:0570-02-9999{Pコード 832-274(セブンイレブン・サンクス店頭)}
パラエストラ札幌:011-733-5301
CORE QUEST KUSIRO:090-9511-1244
大会事務局:011-562-3291
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