結論。黒ひげ危機一髪!!は僕らのヒーローである。 | grabs・黒ひげ危機一髪!!さん

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インタビュー第16回は、BOUT – ZEROで感動ファイトを演じた、”黒ひげ危機一髪”こと、佐々木 司さんにインタビュー。BOUT史に残る激戦の裏舞台を語ります。

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黒ひげ、激闘を語る。

――「BOUT-ZERO」での激闘、お疲れ様でした。

いや~、お疲れ様でした(笑)。
相手の昔の映像なんかを見てイメージ作ってたんですけどね。まさかハイキックで来るとは意外でしたね。ハイキックが得意だったんだなぁ、彼は・・・。

――あのハイキックは見えていませんでした?

はい、全く見えていませんでした。そして、あのダウン以降の記憶がないんですよ。憶えているのはインターバルの時に、なんの技を喰らって倒れたのかを会長に聞いた事。会長が「ハイキックだ」って教えてくれました(笑)。それから、最後の膝蹴りを喰らったときに”バチーン”って物凄い音がしたのを何故か憶えています。

 ――1ヶ月経ちましたがダメージのほうは抜けましたか?

少し残ってますね。最初は頭がガンガン痛くて、寝返りも打てない状態でした。次に目ヤニがたくさん出てって感じですかね。悪いものが下に下りてくるのかな。こんなの初めてですね。みんなに検査に行けって言われたんですけど、行ってなかったんですよ。ちゃんと行けば良かったな・・・。

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――入場時の精悍な顔つきが印象的でした。充実したトレーニングができていたのでは?

正直にいいますと、全然ダメだったんですよ。トレーナーからの指示通りに動けなくて、ジムの練習生には倒されるし、終いには女の子にもやられていましたから。だから、最後のほうにはテクニック云々のアドバイスじゃなくて、「とにかく思い切りブン殴ろう」みたいなアドバイスに変わってましたね(笑)。

――シンプルなアドバイスのほうが、迷いが無くなって良かったかも知れませんね(笑)。

そうですね。先制ダウンも取れましたし。でも、最終的に覚悟が決まったのは、応援に駆けつけてくれた方々のおかげです。あんなに応援してもらったのって初めてだったし、絶対に期待に応えようって思いました。「やってやるぜ」って気持ちになれましたよね。

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――ダウンを取ったとき、佐々木さん自身が驚いた顔をしてましたよね?

そうなんですよ。自分でもビックリしましたから。でも、一番ビックリしていたのはセコンドの面々だったというオチがありますけれども(爆笑)。

――キックボクシングとの出会いについてお聞かせください。

最初は、高校の先輩であるTOMONORI会長が東京で活躍されてるのを知って、応援Tシャツを作ろうっていうことでジムに伺ったんです。当時はそういった仕事をしていましたから。

それで何度かジムに出入りしているうちに血が騒いできたんですね。もともと格闘技には興味があったんですが、一般のジムでは敷居が高くて入会しずらかったんですよ。その点、TOMONORI会長は気心が知れてましたし、気軽に入会できましたね。

――会長と過ごした高校時代はどんな感じでしたか?

会長はその頃から人気者でしたね。すでに空手とボクシングをやってらして、学校で会えば、「よし、やるぞ」みたいな事をいきなり言われて、僕は新しい技の実験台にされていました(笑)。

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なぜ、黒ひげ危機一髪!!なのか?

――”黒ひげ危機一髪!!”というユニークなリングネームはご自身のアイディアですか?

違います(キッパリ)。その昔、ひどく太っていましてね。で、ひげを生やして頭にタオルを巻いて練習していたんです。そうしたら、女性会員の方に「黒ひげ危機一髪!!の人形に似てるね」って言われてしまったのが始まりです。それを聞いた会長が、「そのリングネームでいくぞ」って言い始めて・・・。

――TOMONORI会長のお弟子さんにはユニークなリングネームの方が多いですよね。他には、お魚の名前がついた方とか・・・・。

あぁ、鰤鰤左衛門(ぶりぶりざえもん)ですよね(笑)。僕も一応、やんわりと拒否したんですけどね、知らないうちに”黒ひげ危機一髪!!”の名前でエントリーされていたものですから(爆笑)。

――太っていたと仰いましたが、いまの筋肉質な体型からは想像できませんね。

やっぱり、キックボクシングを始めてから、みるみる痩せましたね。大好きだったお酒も呑まなくなったことも大きいです。昔は相当の量を呑んでましたから。

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――いいですね。奥さんも喜んだんじゃありませんか?

いや、うちのはダメですね。筋肉質の身体はキライなんですよ。亭主が筋肉質に変身すれば喜ぶ奥様方もいらっしゃるでしょうけど、うちは「気持ち悪い!」って言われちゃいます。この間も、「それ以上、筋肉をつけないで」と勧告を受けましたから(笑)。

――立ち入った質問をしてしまいました(笑)。話を先日の試合に戻します。あの試合は関係者からの評価も高かったですね。

本当ですか?とても嬉しいです。会長からも「よかったぞ」って言ってもらえたんです。負けちゃったけど、会長に喜んでもらえたのが一番ですよ。それから、普段は厳しいダメ出しで有名な米山トレーナーも、今回だけは「よくやった」って言ってくれたんです。なんだかんだ言っても、一番厳しいのは米山さんだから。

――勝ち負けよりも大切なものがあると改めて教えてもらったといいますか、佐々木さんの戦いを見て勇気をもらった人って多いと思うんです。

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応援してくれる人がいる限り

――記憶がなかったと仰ってましたが、その状態でよくあそこまで追い込みましたね。

先ほども言いましたが、仲間の応援があったからですよ。本当にそれだけ。それしかありません。

――仲間の応援があるとそんなに違うものですか?

僕はもともと、戦いに際してモチベーションを上げる材料といったものが少ない選手だと思うんです。チャンピオンベルトを狙えるような選手だなんて思ってないし、どうしても戦ってみたい選手がいるわけでもない。

キックボクサーとして成し遂げたい目標があるわけでもないし、そもそも、どうしてキックボクシングを始めたのかという部分からして曖昧ですから(笑)。

――仲間の応援でモチベーションが上がったと。

はい。仲間の応援でこれだけ高いテンションで試合に臨む経験ができたと思うんです。それは僕としても新発見でした。

最初、BOUT実行委員会からチケットを30枚くらい手配しておいたんですが、あっという間に売れてしまったんです。「50枚くらい手配しておけばよかった」って後悔したくらい皆チケットを買ってくれて。嬉しかったなぁ・・・。俺を応援してくれる人がこんなにいるんだって思いました。

なかには失業中で金がないはずなのに、会場まで足を運んでくれた仲間もいましたから。そんな仲間が見てる前で恥ずかしい試合はできませんよ。なにがなんでも期待に応えたかった。

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――とてもいいお話です。

さっきも言いましたけど、僕自身、才能豊かな選手だなんて思っていないし、格闘家としてのモチベーションを維持するほどの信念を持ってるわけでもないんです。でも、応援してくれる人達がいる限り、全力でファイトしたいし、期待に応えたいって思っています。

――最近は指導にも携わっておられますね。

はい。選手として活動しているときとはまた違った刺激があるんで、楽しんでやってます。基本的な動きでも、どうしてそうしなければいけないのか、理由をちゃんと説明しなければいけないですし、自分でやる分にはあまり気にしないことでも、人に伝えるとなると深く掘り下げないといけないっていうか。その過程で気づかされる事って多いですよ。

 それに、指導した会員さんがカミナリモン等の競技会に出場したときなんかは、こっちも燃えますからね。セコンドもやってみると面白いですね。

――佐々木さんが指導される”黒ひげ教室”も開講予定と聞きましたが。

まだ詳細は未定なんですけどね。会長からそういったお話をいただきましたので、準備は進めています。北海道でも大学にキックボクシング部ができたり、サークルができたり、着々と広まってますからね。一昔前までは大学にキックボクシング部なんてなかったじゃないですか。

僕も負けじと頑張って、北海道のレベル向上に貢献できればと思っています。話が固まり次第、ジムのWEBサイトにお知らせを載せますから、みなさんよろしくおねがいします。

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【プロフィール】1978年網走郡美幌町出身の札幌育ち。「黒ひげ危機一髪!!」のリングネームで活躍しているプロキックボクサー。2013年5月26日に行われた「BOUT-ZERO」において、BOUT史にのこる激闘を演じ、その存在をファンに印象付けた。戦績は7戦2勝5敗1KO勝ち。趣味はニジマス釣り。無類のネコ好きとしても有名。

ジム・道場データ

Photo & Text:山田タカユキ

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山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。