畑中劇場、8月の準決勝へ。新人王へ一歩前進

ノースエリア格闘技イベント BOUT-23
2016年6月19日(日)札幌市・コンカリーニョ

▼第4試合
RISING ROOKIES CUP
フェザー級1回戦3分3ラウンド延長1ラウンド

畑中健太(蹴空ジム)
田中雄大(Team Free Style)
勝者:畑中 KO,1R 1’40

畑中に感じる違和感の正体とは?

畑中健太の試合を観戦するたびに違和感を感じる。それは、他の試合が大会プログラムどおり「BOUT-23の第○○試合」といった枠組みの中で行われるのに対し、畑中の試合はその枠組みに収まりきらないからだ。BOUT-23の第4試合であると同時に、「畑中劇場」ともいえる一つの独立した演目として機能している。それが畑中の試合に違和感を感じる理由である。

この日も、茶目っ気たっぷりの入場パフォーマンスで観客を魅了した畑中は、もはや代名詞となった左のフックで1Rに2度のダウンを奪い、自身の劇場をおおいに盛り上げた。もしも筆者がメインイベンターだったなら、このようにオンリーワンの空間を作り出せる選手が自分より先に試合をすることは、はなはだ迷惑な話である。

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畑中、必殺の左フックで迎撃

試合を振り返ってみよう。対戦相手の田中雄大(Team Free Style)は気合のはいった好ファイターだったが、前進のギアしか持ち合わせておらず、畑中がもっとも好むタイプだったといえる。開始直後には左のフックをチョンチョンと小さく繰り出しタイミングをはかる畑中。ネコパンチのようで微笑ましい動作だが、これがクセ者だ。

20秒過ぎにはフックを被弾した田中が前のめりに倒れるが、判定はスリップ。しかし、田中の焦りの表情からはダメージを負っているように見えた。下の連続写真は1分過ぎ、ロープ際でワンツーを誘った畑中が、田中の右ストレートにフックを合わせる場面。死角からフックを被弾した田中は、「なんの技を喰らってダウンしたのかわからない」といった顔で立ち上がった。

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ギリギリで見切る畑中の「眼」

そして試合を決めた2度目のダウンが下の写真。気の強い田中は、最初のダウンでロスしたポイントを取り戻そうと果敢に前へ出るが、これが裏目に出た。畑中は最初のダウンと同じく、ワンツーを誘って、右ストレートにあわせてフックのモーションにはいっている。右ストレートをギリギリのところで見切っているのが憎いところだ。田中の倒れ方をみて即座に試合をストップするレフェリー。

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真価が問われる決勝ラウンド

この試合はRISEの新人王トーナメント「RISING ROOKIES CUP2016」の一回戦として行われたため、勝者の畑中は8月に行われる準決勝へと駒を進めることが決定している。畑中がエントリーするフェザー級には、村山智耶(HAYATO GYM/2014年KAMINARIMONトーナメント-60kg級優勝)や、福島草太(MASTER JAPAN)など、東京のRISE ZEROでメイン・セミをはる強豪もいる。

今回の試合では相性的に恵まれていたこともあり、関係者の興味は「自分の型にはまらなかった場合、どれだけの引き出しを持っているか」に移っているといっていいだろう。畑中の真価が問われるのは8月以降ということになりそうだ。

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写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ

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山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。