道内フェザー級最強の座は出口智也に決定!~BOUT-21

ノースエリア格闘技イベント BOUT-21
カリア Presents Northen Supernova 2015
2015年12月6日(日)札幌市・琴似コンカリーニョ

決勝戦2分2R(延長2R)
出口智也(忠和會)
畑中健太(蹴空ジム)
勝者:出口 延長判定3-0

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1R、畑中有利のスタート

序盤の畑中の積極的かつポイントを捕らえた攻撃により、この時点で誰もが彼の勝利を確信したのではないか。前蹴り、左ハイ、1,2からのコンビネーションなど、得意技満載で自信に満ち溢れた態度は、観客を楽しませたいと言う彼の信条どおりの展開を見せた。

これらの多角的な攻撃をダメージにならない程度で、すんでのところでかわす出口。さすがはガードの名手だ。反撃は手数の少ないパンチに右ローのみ。地味ではあるが、この戦い方がのちに功を奏すことになるとは誰が予想しただろうか。

飛び道具も交えた畑中の攻撃はますますヒートしていくが、モーションが大きい分これらも出口に見事に見切られている。やがて局面はこの試合の見せ場となる3Rを迎えることになる。互いに防御に甘んじることなく攻撃を仕掛ける。最初の1,2ラウンドはまるで序章であったかのように観客を引き込んでいく。どちらに軍配が上がっても不思議はない。

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延長へ突入。畑中、スタミナ切れか

延長戦でダメージの蓄積とガソリン切れからやや劣ってしまった畑中に打ち勝ち、ポイントをかせいだ出口。ここで票が明らかになるが、軽量でも十二分に見せ場を作れることがこの2人によって証明された一夜となった。

90年代からのK-1の台頭により、われわれは「超重量級」を目の当たりにするのが常となってしまい、それ以外は実に物足りないと思い込まされていた。線の細い日本人選手が、大型の海外選手を相手にするさまは奇しくも竹やりでブルドーザーに向かっているなどと蔑まされた。

元々フレームの小さい東洋人に「肉づめ」をするとなると容易ではないし、精神的にもかなりの負担を強いられる。この軽量の2人の試合が意味するものとは……。一発KOで相手をマットに沈めることが出来ればそれに越したことはない。一番望むところではあるが、そんな交通事故のような偶発性を期待しすぎるのも禁物である。

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ふたりの伸びしろに期待

むしろ細かい技の応酬、目にも止まらぬスピードで翻弄するテクニック、あざやかなフットワークなど、軽量選手にしか出来ない醍醐味をかもし出すことがややもすれば日本人らしいと言えるのかも知れない。

出口はこのバランスの取れた身体を維持することで、一撃一撃に重みを加えることが可能となってくるだろう。攻防共に優れた才能にさらに磨きをかけていって欲しい。畑中の場合、スタミナ切れが心配なところでもあるが軸のブレをなくし、攻撃に体重を乗せていくことが課題となるであろう。

まだまだ伸び白の多い選手なので非常に有望株であることは間違いない。またこの二人を含めこの階級の選手たちが世界の舞台で活躍する日が来ることがそう遠い未来ではないことも切に願う。

写真提供:BOUT実行委員会
text:Jack Frost
photo:山田タカユキ

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JACK FROST

196○年生まれ。80年代にプロキックボクサーとして活躍。引退後は某総合格闘技ジムにて選手の育成に携わる。MMA禅では、おもにBOUTのレビュー記事を執筆。道外在住。