山川賢誠の全日本ランキング入り記念インタビュー | 札幌道場・山川賢誠さん

6月19日に行われた「BOUT-23」において、津田鉄平(RISEバンタム級6位・新宿レフティージム)をTKOで撃破し、全日本ランキング入りを果たした山川賢誠(札幌道場)。延長戦までもつれ込み、イベント後のファンアンケートではベストバウトに選ばれた死闘をインタビューで振り返ります。

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ランキング入りおめでとうございます。ダメージのほうは?

ありがとうございます。ダメージはまったくありません。

2Rにダウンがありました。あれは効いて倒れた?一本足になったところに喰らったようでしたが・・・

タイミングですね。左ミドルばんばん蹴ってたので、タイミングをはかろうとしてるのはわかってたんですけど、それでも自信をもって蹴ってたので、そこに合わされちゃった感じです。

それほど効いたダウンではないと。冷静にうまくたてなおしていけましたか?

セコンドからとりあえず「カウント8までしっかり休め」としっかり聞こえていましたし、1ラウンドしっかりとって「これいけるな」という感じだったので。焦ることなく。

左のミドルも入ったし、内腿もヒザも入ったし、なんでもはいってましたね

そうですね。なので、ぜんぜんダウンとられても焦ることは全くなかったですね

じゃあ今回は、ダウンを除いては特にピンチを感じることはなかった?

そうですね。

主導権を握るカギとなった左の攻撃ですが、かなり練習した?

インローが得意で、色々な選手から「はやくて反応できない」と言われているので、自信を持っていて。左ミドルは練習している中で一番やらされているので自然と出た攻撃です。

左ミドルでいけ、っていうのは小堀師範からの指示だった?

そうですね。

自分としては、あまり好きな技じゃないというか、得意な技じゃない?

僕はインローが好きです(笑)。試合の中でも何発も出してたんですけど。バンバン入っていたので、足も嫌がってたし、腕もだんだん嫌がってきてたので、最終的にはどっちも潰そうかな、とうい感じで。

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2ラウンドくらいまではミドルの後にちょっとリターンが返ってきたけど、3ラウンドからは蹴り放題でしたね。

そうですね、でも、もっと左ミドルでプレッシャーをかけていけるようにしろと、師範には厳しく言われてはいるんですけど。

中盤からは左のミドルを蹴って、相手がリターンを返してくるところに右のフックをあわせてました。ああいうのは、自然に体が動いちゃう?

右のフックはアマチュアからずっと得意な技で、倒してきてる技ではあるので、自然に出るんです。2ラウンド目以降からパンチも出していくと入って、「あ、入るな」と思って。

結構手ごたえはあるんだけど、「この人なかなか倒れないな」と思って打ってた?

そうですね、拳にも結構きてたくらい、ばんばん入ってたのに倒れない。

得意のストレートでも、すごいアゴが跳ね上がってました。延長ラウンドにいっぺんにきたんですかね、あのダメージは。

気持ちの強さはすごく感じました。2ラウンド、3ラウンドでいいパンチが入ってるときに、効いてるのわかったんですけど、気持ちで盛り返してくるというか、気持ち切れてないのわかったんで。ほんと気持ちが強かったですね。

話題をかえてサトル戦の話を聞きたいのですが。あの試合は、試合の後に苦しそうにしてたけど、調整の具合が悪かった?

辛かったですね。自分の調整ミスなのですけど。

気持ちがうまくのってなかった? 気持ちはのってたけど体は動かなかったとか?

気持ちはのってたんですけど体がついてこなかったですね。結構、ひどい試合してしまって・・・・

負けたと思ったけどね。

僕もそう思いますね。

「あれ?」と思った?

本戦の時点で「やられたかな」という感じではしたんですけど、延長いったときは応援すごかったので、体は動かないけどなんとか気持ちで乗り切ろうというか、「勝つぞ!」というのはあったんですけど。

延長戦に持ち込むのは札幌道場の伝統かな(笑)

アハハ、2試合連続です(笑)

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サトル戦で、負けたかもしれない、と。それでドローになったけど、あまりお客さんは納得してないだろうな、というのは感触としてあった?

ありましたね。

今回も同じような試合になったら、ちょっとマズイなというのはあった?

マズイというか、あんな試合したら終わりだな、というくらいの気持ちで。その分本当に、試合のおかげでじゃないですけど、今回も今までで一番なくらい練習しっかりやって、調整も食事からなにからしっかり気を使ってできたので。

ランカー2人とやったわけだけど、ノーランカーと比べると違いはあった?

いつもだと倒れるような攻撃を打っても倒れてくれない。当たり前だけど全てのレベルが高いですよね。スタミナ1つにしても、テクニック、パワー、全部そうですけど。

ランカーと戦って、一番学んだことは?

課題が明確になること。とにかく、レベルの高い人とやると、自分に足りない部分というか、ここがダメなんだなという部分が見えてくるんですよね。今までだったら、早く終わっちゃったり、自分が圧倒する場面が多かったのですけど、ランカー、レベルの高い人たちと試合すると、さっきのリターンの話にしても、課題が見えてきます。

それより遡って、賞金トーナメントがあったでしょう?畑中戦ではパンチでいいのが入って、そこでいけそうだと思った?

1ラウンド、自分の攻撃がばんばん入ってたので、相手の攻撃も怖いのがないな、当たらないなっていう感じがしたので。1ラウンドの最後にパンチのラッシュをかけたときに、会場が盛り上がって調子にのっちゃいました(笑)。冷静にできなかった、自分のミスですね。

BOUT-23のファンアンケートでは、畑中選手との再戦とか、出口選手との対決が観たいという意見が多くありました。どっちとしてみたいですか?

僕は出口さんですね。

出口選手とは何か因縁がある?

みんなが「強い強い」と。アマチュア時代から、自分の階級で強いヤツがいると聞き続けて、自分がいつか倒すという感じで思ってはいるので。この間のトーナメントでも優勝して、誰も勝ててない状況なので、「自分が」っていうのはありますね。

練習内容について聞こうかな。走り込みってやってる?

毎朝やってますね。

朝走ってるんだね。大体何キロくらい?

職場でトレッドミル、ランニングマシーンでやってるんですけど。

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スポーツクラブにいるんだっけ?

そうです。スポーツジムで働いているので、7~8㎞くらいですけど、ちょっと息あがるくらいのペースでやってます。

毎日7~8kmだとたいしたものだよね

でも、習慣になっているので。

今回の練習は、今までにないくらい練習したって話だったけど、すべて札幌道場でやってる?

札幌道場の他には、884ボクシングジムでスパーリングメインでやらせていただいてます。

札幌道場での練習は、スパーリングがメイン?

札幌道場は、ミットとサンドバッグの打ち込みメインです。

ミットは誰がもってくれる?

師範自らもってくれます。

サンドバックは、後ろで師範が見てるでしょう?キツイね。何ラウンドくらいやらされる?

すごいラウンドやらされます。最近入門したジョージ君(後藤丈治・パンクラス札幌大会に参戦中)と、ジョージ君わかりますか?ジョージ君と一緒にやってる感じです。

後藤丈治選手もパンチのセンスがあるんだってね。彼も884ジムでしょう?

彼はすごい有望ですよ。本当に伸びると思います。

試合の時はお父さんが来てたらしいけど、いつも来てくれる?

そうですね、いつも来て応援してくれてますね。家族みんなそうなんですけど。

今回、ランキング8位に入って、周りの感触は?

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すごく喜んでくれてますね。やはりそうやって形に残るものがあることで、ただプロのキックボクサーというのではなくて、RISEのランキングがすごいと思ってくれるみたいで、反応が全然違いますね。

それにバンタム級には那須川天心選手がいるじゃないですか。天心選手の知名度がすごいので、その階級にいるんだね、みたいな感じで言われます。

BOUTとしては早い時期にもっと上のランカーとやらせたいみたいだけど?

チャンスをいただけるなら僕はいつでもやりたい。挑戦したい気持ちはあります!

まず1戦1戦勝っていって、タイトルに絡んでいけるような選手になることが目標です。とりあえずは年内にランキング上位にいきたいです。

年内にね。那須川選手がいる階級だからね。BOUTもそういうところは視野に入れてるだろうし

BOUTからは良質のチャンスをいただけます。それをモノにできるかできないかは自分次第。厳しいですけどランキング上位が目標ですね。

札幌道場のいいところは試合の断りようがないところだよ。試合を断るのはリスクだからね。そのおかげでルーキーズカップ(新人トーナメント)を飛び越えて、いきなりランキング戦なんてチャンスがくるわけで。

良かったです本当に

9月のBOUT-24は試合決まってる?

いえ、なにも。ただ、誰とでもやる準備はできていますよ。

じゃあまたそのときに、よろしくどうぞ。今日はありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

【山川賢誠プロフィール】1993年9月27日、札幌市出身。アマチュア時代より卓越したボクシングテクニックで注目を集める。2013年より現在の札幌道場に移籍、道内最大の格闘技イベント「BOUT」に参戦中。プロ戦績8戦5勝1敗2分3KO。入場テーマはak-69の「Iron horse」。現在、メジャー団体「RISE」の全日本バンタム級8位。札幌道場所属。

写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ

ジム・道場データ

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山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。