3月6日BOUT-22直前プレビュー@布施鋼治

開催まで2週間をきった道内最大の格闘技イベントBOUTの第22回大会。メインはgrabs移籍後絶好調のTETSUROが、ムエタイルール2戦目にして、魔人・パッカシット・ウィラサクレックに挑む注目の一戦。

恒例となった札幌出身のスポーツライター・布施鋼治氏による直前プレビューが、BOUT実行委員会から届いたので早速お届けしたい。

TETSURO vs パッカシット、GRABS陣営からはKO予告

今大会は新春第1戦と好カードということも手伝って、チケットは早々にソールドアウト。改めて北海道の立ち技格闘技人気を証明した。BOUTの常打ち会場となりつつあるコンカリーニョは超満員の観客の期待と興奮で試合前からピンと張りつめた空気が充満することになるだろう。

メインイベントではTETSUROがパッカシット・ウィラサクレックに挑むムエタイルールの3分5Rが組まれた。昨年9月のBOUTではJ-NETのトップランカーであるCAZ JANJIRAと一進一退の攻防を演じた末に引き分けた。

3カ月後にはアマチュアボクシング出身の倉沢和行を相手に初めてムエタイルールに挑み、危なげない勝利を収めている。あれから3カ月、TETSUROはどんな成長ぶりを見せてくれるのか。タイ人選手と闘うのは初めてながら、かつて東京で元ラジャダンナンスタジアム認定ウェルター級王者のノッパデッソーンの指導を受けるなどムエタイ独特のリズムや間合いはすでに経験済みだ。慌てることはあるまい。

対するパッカシットはウィラサクレックジム札幌の門番というべき存在で、昨年6月のBOUT20で札幌デビュー。札幌出身の長谷川豊を開始早々ローキックで攻略し、立て続けに2度のダウンを奪って初陣を飾った。

この闘いぶりを見る限り、パッカシットは札幌の観客がのらりくらりとしたリズムのムエタイではなく、殺気を伴った倒すムエタイを見たがっていることがわかっている。筆者の予想では長谷川戦同様倒しにくるような気がしてならない。
 
TETSUROが所属するGrabsのTOMONORI代表は高らかに宣言する。

「パッカシットのロー対策をして、得意なパンチでKOする作戦を立てています。3Rまでに向こうのローやヒジでダメージを負わない限り、KO勝ちできると思う」

山川賢誠は試練の一戦。沙斗流とランキング戦

昨年12月の『カリア Presents Northen Supernova 2015』ではベスト4まで進出して、そのポテンシャルの高さを見せつけた山川賢誠はセミファイナルで函館出身の沙斗流(さとる)と激突することになった。

沙斗流は現RISEバンタム級7位。試合はRISE公式戦として行なわれるため、山川が勝てばランキング入りも夢ではない。先のトーナメントで証明したパンチ力は55?級のランカーに通用するのかどうか。今年の山川の活躍を占う意味でも重要な一戦となるだろう。

さらに一昨年はRISING ROOKIIES CUP2014ライト級で優勝。その勢いで昨年はRISE第3代ライト級王座決定トーナメント一回戦で麻原将平と拳を交わしたAKINORIも登場し、さらなる高みを目指してリアルディールの潔人と激突する。

麻原戦後はBOUTで2連勝をマーク。東京からのオファーもあったが、ケガで断念せざるをえなかった。現在のAKINORIのRISEライト級のランキングは9位。王者を目指すなら、地道なステップアップが必要だろう。潔人は福岡エリアで精力的な活動を続ける『RISE ZERO』でキャリアを積む28歳。相手にとって不足はあるまい。

それだけではない。アンダーカードも充実している。東京のムエタイ大会にも出場するウィラサクレックジム札幌の山田忠洋、打ち合い上等の突貫ファイター・拓也(蹴空ジム)、ダイエットクラスからの転身で本日デビューを迎える広瀬公俊(Grabs)が東京のHAYATOジムや名古屋のストライキングジムARESの強敵を迎え撃つ。一足早い春の嵐がコンカリーニョに吹き荒れるか。

写真提供:BOUT実行委員会
text:スポーツライター布施鋼治

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布施 鋼治

スポーツライター。1963年、札幌市出身。アマチュアレスリング、ムエタイ、MMAへの造詣が深く、雑誌「Sports Graphic Number」の連載、新聞への寄稿など幅広く執筆。「吉田沙保里119連勝の方程式」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に「東京12チャンネル運動部の情熱」「なぜ日本の女子レスリングは強くなったのか 吉田沙保里と伊調馨」等々、多数。

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