3月4日:KAMINARIMON札幌大会ダイジェスト

過去最高の技術レベル、著名人も絶賛

道内で最も歴史があり、技術レベルが高いアマチュア競技会「カミナリモン札幌大会」。夜間に行われるプロ格闘技興行「BOUT」に先立って行われる競技会だけに、プロ選手と全く同じ環境で試合を行えるのが最大の魅力だ。

半年ぶりに行われた今大会は、GRABSや蹴空ジム・エスジムの御三家をはじめとする常連ジムはもちろん、Team URESPA、打撃格闘術高橋道場などの新興勢力からも多くの選手が参戦。観戦に訪れた著名なスポーツライター・布施鋼治氏を「名古屋の大会を見ているのかと錯覚した」と言わしめるほどのハイレベルな熱戦が続出した。

シャムエボルヴ、URESPAが躍進。レディースには新星登場

今大会で躍進したのはチーム・シャムエボルヴ。GRABSやエスジムといった御三家の一角を切り崩し、6戦5勝1敗と大勝した。さらに、MMA界から初参加のTeam URESPA(チーム・ウレシパ)は3戦2勝1分けの好成績。こちらもエスジム、札幌道場といった強豪ジムを退けての価値ある勝利だった。

これらの試合は実力差による秒殺や、ワンパンチKOなどのイージーファイトではなく、しっかりと技術で対抗しての判定勝ちが多かったのが特徴。出場ジム全体にレベルの底上げ感があり、御三家の3強時代にも翳りが見えてきたというのが今大会の印象だ。

また、女子クラスには4名がエントリーし3試合が組まれる盛況ぶり。なかでも目を引いたのはGRABSの秘密兵器・嵯峨愛里。2試合を戦い、いずれも圧巻のブル・ファイトで対戦相手を瞬殺した。はたして彼女を止める選手は現れるのか?女子クラスの盛り上がりにも期待したい。

今回のMVPは青木惇人(一信会館)が受賞。ベストファイト賞に國方一騎(打撃格闘術高橋道場)、ベストスピリット賞に山崎政男(フリー)がそれぞれ選ばれた。以下、熱闘22試合をダイジェストでお伝えする(※は二試合する選手)。

第1試合 女子Cクラス -55kg

○嵯峨愛里(GRABS)※
×髙橋玲子(打撃格闘術高橋道場)

GRABSの秘密兵器・嵯峨(手前)が圧巻のラッシングパワーをみせ、あっという間に7ポイント先取の圧勝。本部席側に向かってラッシュをかけ、しかもすぐに試合が終わったため、背中しか撮れていない。 

第2試合 女子Cクラス -55kg

×東 侑季(打撃格闘術高橋道場)
○南部春香(打撃格闘術高橋道場)※

女子クラスの2試合目は同門対決。テクニシャン・南部(画像左)が7ポイント先取。今大会、高橋道場からは6名の選手が参加。そのうち3名は女子クラスだった。 

第3試合 Bクラス -60kg

○夏井広夢(エスジム豊平)※
×木村靖成(蹴空ジム)

シニアでは強すぎて相手がいない(と思われる)木村が、今回は一般Bクラスで参加。若いパワーファイター・夏井(画像右)の殺人的な連打の前に判定負け。それでもここまで食い下がるとは恐れ入った。 

第4試合 ジュニアAクラス -55kg

○小笠原健吾(蹴空ジム)
×南 龍来(WSR札幌)

この階級では敵なしの小笠原健吾(画像右)。プロに転向した天才児・末永愛士が、アマ時代に唯一引き分けているのがこの小笠原だ。その小笠原と互角の勝負を展開した南は注目株。2Rに失速し判定負けを喫したが、もう一度見てみたいカードだった。 

第5試合 Cクラス -55kg

○和賀義幸(チームシャムエボルブ)
×鈴木清作(札幌道場)

アマ戦績3桁を誇る鈴木(画像右)が、KAMINARIMON初勝利を奪うべく前に出た。先にポイントを奪取してペースを掴みかけたが、中盤に失速。和賀が怒涛の7ポイント先取で判定勝ち。 

第6試合 Cクラス -60kg

△畠山 忍(Team URESPA)
△稲井田希夢叶(札幌道場)

KAMINARIMON初参戦のTeam URESPA。切り込み隊長の畠山(画像右)がキックで魅せた。対する稲井田も技術には技術でかえす好試合。ポイント4-4のドローとなった。 

第7試合 Cクラス -60kg

○森田健斗(忠和會)
×高槻洋介(打撃格闘術高橋道場)

森田(画像右)の軽いフットワークから素早くパンチ連打に移行する機動力が冴える。終盤にエンジン全開。レフェリーストップ勝ちをもぎとった。中盤まではポイントが拮抗していただけに、高槻には惜しい敗戦だった。 

第8試合 Cクラス -60kg

×相馬鉄兵(エスジム厚別)
○木村友治(チームシャムエボルブ)

シャムエボルブvsエスジムの激闘は、もはやKAMINARIMON札幌大会の名物。トップバッターの木村(画像左)が、ミドルキックを的確にヒットさせ7ポイント先取の圧勝。

第9試合 Cクラス -60kg

×佐藤 純(エスジム厚別)
○山崎政男(フリー)

ベストスピリット賞を受賞した山崎(画像左)。カテゴリー的にはシニアクラスだが、年齢を感じさせないクレバーな動き。見事に御三家の一角・エスジムから勝利をもぎとった。Bクラスに転向し、木村靖成(蹴空ジム)とシニア対決をすれば好試合となるだろう。

第10試合 Cクラス -70kg

×斉藤 俊(エスジム豊平)
○國方一騎(打撃格闘術高橋道場)

高橋道場が誇るパワーファイター・國方が1R早々にワンパンチKOを演出した。まさに一撃必殺というべき破壊力。倒された斉藤も唖然とした表情。一瞬、会場がシーンと静まり返った場面。

第11試合 Cクラス -70kg

×藤沼大樹(エスジム厚別)
○工藤大希(チームシャムエボルブ)

シャムエボルヴvsエスジムの激闘。工藤(画像左)が目の覚めるようなミドルを連発してポイントリード。再三にわたるローブローにもめげず判定勝ち。ポイント5-9の白熱した試合だった。 

第12試合 Cクラス -75kg

×森川浩之(エスジム厚別)
○和田弘樹(Team URESPA)

MMAチーム・ウレシパから初参戦の和田(画像右)が、MMA畑から参戦の選手とは思えない打撃を披露。ミドルとパンチでしっかりと戦った。ポイント4-9で勝利。 

第13試合 Cクラス 重量級

×中山和明(札幌道場)
○石岡昌平(Team URESPA)

今大会唯一の重量級対決はチーム・ウレシパvs札幌道場の好試合。石岡(画像左)が重量級とは思えないテクニシャンぶりを発揮。ローを効かせてのハイキックで中山は何度もバランスを崩した。ポイント6-8の接戦だった。 

第14試合 Bクラス -60kg

×山中翔太(GRABS)
○青木惇人(一信会館)

K-1アマチュアのファイナリスト・青木(画像左)が久々に参戦。技術的に模索しているものがあるのか、前に出てくることはせず、スピード重視の控えめなファイト。青木対策を練ってきた山中は拍子抜けした様子。スピード差に涙をのんだ。
 

第15試合 高校生Bクラス -60kg

○細川裕人(GRABS)
×藤井琉矢(WSR札幌)

GRABSの選手にはめずらしく華麗なフットワークを駆使する細川(画像左)。対する藤井は風車のようなフックを武器とするファイター。両者の個性が噛み合った好試合だった。ミドルを効果的に使った細川が3-0の判定勝ち。負けはしたが、WSR札幌の南と藤井は有望株。結果が出るまで参戦してほしい。 

第16試合 Bクラス -65kg

×松井虹兵(GRABS)
○諸井竜也(チームシャムエボルブ)

GRABSのKO男、松井が久々に参戦。早々に試合を終わらせるかと思いきや、諸井(画像右)が意地をみせて打ち勝った。KOではなく判定というところに意義がある。チームシャムエボルヴの躍進を印象付けた一戦。これは価値ある一勝だ。

第17試合 Bクラス -65kg

×高瀬義人(一信会館)
○高橋卓(打撃格闘術高橋道場雄武同好会)

初参戦の高橋道場の選手もなかなかやる。いまやエリート集団となった一信会館の高瀬と激闘をくりひろげ、パワーで圧倒した。2-0の判定勝ち。KAMINARIMON向きのパワーファイターが多いのが高橋道場の特徴だ。 

第18試合 Bクラス -70kg

×山本琢郎(エスジム豊平)
○福山勇斗(蹴空ジム)

蹴空ジムから貴重な重量級パワーファイター福山(画像右)が登場。豪快なパンチで山本を追い込んだ。山本もパワーで対抗しての大激闘だったが、2Rに力尽きた。タオル投入によるストップ。 

第19試合 高校生Bクラス -70kg

×青木優(丈夫塾)
○西川大和(HAMA)

リトルタイソン・西川(画像右)が、ショートパンチと強烈なローキックで圧倒しレフェリーストップ。青木は超接近戦に対応できず、再三のホールディングで減点。ショートレンジの攻防に長けた選手でなければ、西川を攻略するのは難しいだろう。 

第20試合 女子Cクラス -55kg

○嵯峨愛里(GRABS)※
×南部春香(打撃格闘術高橋道場)※

GRABSの嵯峨愛里が再び登場、第一試合を再現したような速攻をみせた。今度は7ポイント先取する前にレフェリーがストップ。嵯峨の勢いの前にテクニシャン・南部もなす術なし。例によって本部席に向かってラッシュをかけ、あっという間に試合が終わったため、背中しか撮れていない。 

第21試合 Bクラス -60kg

×夏井広夢(エスジム豊平)※
○田嶋優樹(チームシャムエボルブ)

シャムエボルヴのメンバーではベテランの部類にはいる田嶋(画像左)。ローキック殺法以外にも引き出しが増え、円熟味を増している。第3試合でパワーで圧勝した夏井を、技術で完封してみせた。エスジムはこれで7戦して1勝6敗。御三家の一角としては屈辱的な戦績となった。

第22試合 Cクラス -70kg

○國方一騎(打撃格闘術高橋道場)
×松平知也(チームシャムエボルブ)

棄権と欠場で対戦相手が二転三転したテクニシャン・松平(画像右)。やっと決まった相手・國方に対し、中盤まで完全にペースを掌握した。が、終盤に國方のパワーパンチが炸裂し、試合がひっくり返る。國方のTKO勝利。2連続KO勝利となった國方は、ベストファイト賞を受賞した。

試合前のアップ風景や、表彰式、賞状・メダルの授与風景はコチラから>>

写真提供:RISEクリエーション

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山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。