まだ間に合う。BOUT-29、BOUT-30はこの選手で盛り上がる!

開催まで一週間をきった北海道最大の格闘技イベント「BOUT」。今回は昼間にRISEルールでおこなわれる「BOUT-29」、夜間にヒジ有りのBOUTムエタイルールで行われる「BOUT-30」が開催される豪華二本立てだ。

今年度最後となるBOUTは、来年度に飛躍するであろう選手を占う意味でも興味深い興行である。そこで今回は当サイトが来年度の活躍をもっとも期待する二人の選手にスポットをあてて、今大会のプレビューをお届けしたい。

裏評価が高いのはこの選手

団体が選手を評価する際、その評価基準となるものにはいろいろある。表向きはKO率が高い、派手なパフォーマンス、集客率の高さなど、いわゆる「商品価値」の高い選手が高評価を得るのが一般的だ。

しかしプロモーターをはじめとする関係者はそういった「表評価」だけでは判断しない。そこには選手の人間性、競技に対するひたむきさなどを加味した「裏評価」が存在するのである。

「商品」としての価値を表すのが表評価だとするならば、「選手」としての価値を表すのが裏評価といえるわけだ。では、今回エントリーした選手の中でこの裏評価がもっとも高い選手は誰だろうか?

それは蹴空ジムの拓也なのである。

▲関係者からの裏評価がもっとも高い選手、就空ジムの拓也

2018年こそが拓也のシーズンだ

地味で目立たない存在ながら、試合毎に練習のあとが見え、進化が見えるのは拓也である。AKINORI以降、RISEの新人王タイトル奪取などの公式記録を着実に積み上げているのも拓也ただ一人だ。

「この選手になんとか一花咲かせてほしい」

そう関係者に思わせるひたむきさが拓也にはある。最初のうちは表評価の高い選手が台頭するが、結局、最後に残ったのは地道に努力を重ねた裏評価の高い選手だった。そんなケースを山ほど見てきた筆者からすれば、2018年こそが拓也がもっとも輝きを増すシーズンだといえるだろう。

その拓也が登場するのが昼間におこなわれる「BOUT-29」のセミファイナルだ。前述のようにRISING ROOKIESCUPを制し新人王のタイトルを獲得している拓也であるが、次なるステップであるランカー越えはまだ達成していない。

年内にランカー越えを達成し、来年はさらなる上位ランカーとの対戦につなげたいところだ。

▲BOUT-27では野生児・亜月を相手に新境地を披露した拓也

成るか?年内ランキング入り

前置きが長くなったが今回の試合である。拓也の相手はランカーの鈴木雄大(バンタム級9位)。

鈴木は打ち合い上等のパンチャーゆえに拓也との相性も抜群だが、ドロ試合製造機としての側面もあり、鈴木のペースに付き合ってしまうと、なんとも盛り上がりに欠ける凡戦となってしまう。自分のペースを守りぬけるかどうかが一つの見どころとなりそうだ。

しかし先のBOUT-27では、野生児・亜月(秀晃道場)のターザン戦法に屈せず自分のペースを守り抜いた。最終ラウンドのダウンまで繋げた手腕も高く評価された拓也である。今回もしっかりとペースを守り抜き、ランキング入りを確実にすると予想する。

▲テクニシャン・山川賢誠のペースをも乱しまくった鈴木(右)

熊谷麻理奈の華麗なる転身

さて、夜間の部に行われるのが全試合ヒジ有りルールで行われる「BOUT-30」である。注目したいのはアマチュア・ボクシングからの華麗な転身をとげた熊谷麻理奈(WSR札幌)だ。

当初は女子ボクシングでは芽が出ないので、キックボクシングに転向してきたのではないかと疑ったがそうではないらしい。6月のBOUT-27でのデビューを皮切りに国内・海外を問わず精力的に試合をこなしている。

これまで6戦して4勝2敗とハイペースで勝ち星を増やしている熊谷。そんな彼女に会ったのは10月22日に行われたパンクラス札幌である。観戦に訪れていた熊谷は、上昇気流に乗った選手しか持ち得ない独特のオーラを放っていた。

「これは、もしかすると・・・・」

筆者の成長株を察知するアンテナが激しく反応した瞬間だったのである。

▲画像左が熊谷の相手・チェ・ジョンスン(春川ハノルジム)

トラウマ必至。美女が美女を斬る

熊谷の相手は韓国籍のファイター、チェ・ジョンスン(春川ハノルジム)。19歳の長身ファイターで、「河原道」という日本では聞いたことのない団体でチャンピオンとして認定されている。

上の画像をみるとオープンフィンガー・グローブを着用しているで、MMAの経験もあるようだ。過去にBOUTが招聘した韓国人選手で、大ハズレだった選手は皆無だったことも考えると油断はできないだろう。

熊谷は現在、昼間にWSR札幌でのプロ練に励み、夜間には自身が役員を務めるジム・NBFCで後進の指導にあたるという、まさに格闘技漬けの毎日を送っている。

WSR札幌のタイ人トレーナー、パッカシット氏からはヒジとヒザの攻防を重点的に学んでおり、熊谷自身も「ヒジとヒザを駆使してノックアウトを狙う」と息巻く。

美女が美女を斬り裂く。心臓の弱い方は彼女の試合を観ないことをおすすめする。

▲HBCラジオに出演し抱負を語った。DJのあらいけい氏と

BOUT-29概要・対戦カード

【ノースエリア格闘技イベントBOUT-29】
▼日時:
2017年11月5日(日)
12時開場12時30分試合開始
▼主催:
BOUT実行委員会 TEL:0115623291
▼場所:
コンカリーニョ(JP琴似駅直結※駐車場無)
▼チケット料金:
SRS席¥7000 A席¥5000 ※当日500円アップ
▼チケット販売所:
チケットぴあ 0570-02-9999
Pコード 836-890
(セブンイレブン・ファミリーマート店頭)
他、出場選手所属ジム

【BOUT-29 決定済み対戦カード】

▼RISE公式戦57kg契約3分3ラウンド
・山川賢誠(バンタム級5位・札幌道場)
・津田鉄平(バンタム級10位・新宿レフティー)

▼RISE公式戦バンタム級3分3ラウンド
・鈴木雄大(バンタム級9位・STURGIS新宿)
・拓也(蹴空ジム)

▼RISE公式戦スーパーフェザー級3分3ラウンド
・山口翔平(Grabs)
・永塚真(STURGIS新宿)

▼RISE公式戦バンタム級3分3ラウンド
・末永愛土(蹴空ジム)
・山浦翔(新興ムエタイジム)

▼RISE公式戦57kg契約3分3ラウンド
・畑中健太(蹴空ジム)
・旭野ミノル (ゴールデン・グローブ)

BOUT-30概要・対戦カード

【ノースエリア格闘技イベントBOUT-30】
▼日時:
2017年11月5日(日)
17時開場17時30分試合開始
▼主催:
BOUT実行委員会 TEL:0115623291
▼場所:
コンカリーニョ(JP琴似駅直結※駐車場無)
▼チケット料金:
SRS席¥7000 A席¥5000 ※当日500円アップ
▼チケット販売所:
チケットぴあ 0570-02-9999
Pコード 836-891
(セブンイレブン・ファミリーマート店頭)
他、出場選手所属ジム

【BOUT-30 決定済み対戦カード】

▼BOUT ムエタイルール63.5㎏契約3分3ラウンド
・パッカシット・ウィラサクレック(WSR札幌)
・パク・ヒジョン(光州MBSジム/韓国)

▼BOUT ムエタイルール・スーパーフライ級3分3ラウンド
・平賀正孝(TEAM urespa)
・加藤洋介(チームドラゴン)

▼BOUT ムエタイルール60㎏契約3分3ラウンド
・熊谷麻理奈(WSR札幌)
・チェ・ジョンスン(春川ハノルジム/韓国)

▼BOUT ムエタイルール74㎏契約3分3ラウンド
・白岩昭人(Grabs)
・馬場仁(RIKIX)

▼BOUT ムエタイルール58㎏契約3分3ラウンド
・原島モルモット佑冶(TESSAIGYM)
・山浦俊一(新興ムエタイジム)

写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ

The following two tabs change content below.

山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。