選手に尽くすことがトレーナーとしての基本姿勢 | 士道館札幌道場・佐藤龍雄さん

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インタビュー第2回は、士道館札幌道場でトレーナーを務める佐藤龍雄さんが登場。パーソナルトレーナーを養成する専門学校で講師として活躍している佐藤さん。理論に裏づけされた的確な指導は、道内初のプロキックボクサー・永山敬之選手が躍進する原動力となりました。その指導方法やトレーナーとしての心構えとは?

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選手に尽くすということ

佐藤さんが導入された独特なトレーニングですが、どういった種類の運動なんですか?

アジリティトレーニングとか、プライオメトリクスといったものですね。

昔に比べると、永山選手のボディワークも目に見えて良くなりましたね。

ありがとうございます。「BOUTⅡ」に参戦したあたりからコツコツとやってきて、2011年のRISEのランキング戦で実を結びましたよね。

あの試合は接戦でしたね。試合中はどういった指示をだしていたのでしょうか?

大筋の指示は小堀師範のほうから事前に出ていたんです。それに永山の場合はボクシングのジム等にも出稽古に行ってますから、全ての練習内容を僕が把握しているわけではないんですね。

僕の個人的な見解で技術的な指示を出すと選手も混乱しますから、逆に「選手がどうしてほしいのか」といった部分を大切にしています。永山に「試合中はどうしてほしい?」って聞いたら、「褒めてほしい」って(笑)。だから、ずっと褒めてましたよ。

実際、延長になるにつれてモチベーションが上がっているように見えました。

学校の生徒にも言うんですけど(佐藤氏は札幌リゾート&スポーツ専門学校の講師の職についている)、「選手に尽くす」といった価値観はトレーナーとしての基本ですから。

選手の怪我も少なくなったと聞いています。

そうですね。身近なところでいえば、バンデージの巻き方なんかは出場する団体によって変えています。
K-1やRISEでは拳の部分にあんこを作るのが禁止ですから、 手首の固定などのキチンとしたテーピングの処置をしてあげないといけません。それを怠ると怪我や骨折に繋がっていきますよ。

格闘技との出会いについてお聞かせください。

キックボクシングに出会ったのはパーソナルトレーナーになるための専門学校に入学したときです。「カラテ&キックボクシング部」というのがあったんで、すぐに入部しました。

僕の場合、極真空手の浅草道場に籍を置いていた時期があったのでカラテのほうには自信があったんです。そしたら「君、うまいねぇ」みたいな話になって、とんとん拍子に部長に抜擢されちゃって。

結局、20~30名は集まったのかな。夏には館山で合宿なんかも企画してね。楽しかったなぁ。後輩にはルーキー時代の板橋寛(RISEの名チャンピオン)なんかもいたんですよ。

「カラテ&キックボクシング部」というのはユニークですね。

部を立ち上げた先生が、カラテ&キックボクシングを標榜していた士道館で修行を積んだ方だったのでそういった発想になったんでしょうね。

ちなみに、その先生は札幌道場の小堀師範と20年来のお付き合いがあって、「BOUT」のオフィシャルレフェリーとしても度々来札してる方なんです。そういった背景があって僕も札幌道場のトレーナーになったわけなんですが。

学生時代にはすでにプロとして経験を積んでいたんですよね?

そうです。ちょうどその頃に「RISE」が誕生したんですよ。

最初先生に「出てみるか?」って聞かれた時、お断りしたんです。なんせワン・ツーとローキックしか教わってませんでしたから(笑)

だけど「そんなのやりながら覚えるんだ」って説得されちゃって。結局RISEの1・2・3に出場してました。同じ頃、今を時めく日菜太選手なんかがデビューしてたんですよ。

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30本くらいガチで蹴らせます(笑)

発足当時のRISEはどんな感じの興行でしたか?

選手が魅せる試合をしていましたね。いまみたいに大きな会場じゃないんです。そこらへんの名もない会場なんです。だけど選手が試合で沸かせるんですよ。大きな会場と変わらないくらい沸かせるんです。

最近は魅せる試合はしないくせに試合順とか入場曲に注文をつけてくる選手もいると聞きます。立派な会場でやらせてもらってるのに勿体無い話ですよ。プロ興行なんだから試合内容で勝負しないと。

最近、総合格闘技の選手がキックボクシングのリングに上がる機会が増えていますが、どういった感想をお持ちでしょうか?

いいんじゃないですか、大歓迎ですよ。打撃の選手にも良い刺激になると思いますし、どんどん挑戦してきてほしいですね。

お弟子さんが総合格闘家と戦ったときもセコンドに就いておられましたが、試合に際してはウェイトトレーニングの比率を増やすなどの対策をされたのですか?

う~ん、そうですねぇ・・・。まぁ、「力負けしないように」という意味でお聞きになったんでしょうけども、そういう意味ではしていませんでしたね。

キックボクサーのウェイトトレーニングには否定的な立場だと。

とんでもない。ただ、ウェイトトレーニングというのは、その競技に沿った身体機能を改善していくのが本来の目的ですから、重い重量を挙げるだけが能ではないということです。軽い重量でも、片脚でエクササイズさせることでキックボクシングに必要な軸足の安定感やパワーを引き出すことは十分に可能なんですよ。

素人的な質問で大変恐縮なんですが、最近のメディアで、選手がトレーナーに全力でバイクを漕がされているシーンをよく見かけます。あれはトレーナー業界での流行りなんでしょうか?

いやいや、そんなことはないですよ(笑)。流行というより基本ですよね。同じ運動でも低い心拍数でやるよりは高い心拍数でやったほうが試合と同じ状況が作れますから。

昔はうちでもよくやらせましたよ。今は時間的な兼ね合いもあって、もっぱらミットですけどね。高い心拍数の中で色々な技を出させてそういった状況に身体を慣らしてしまうというか・・・。

理論派のイメージが強い佐藤さんですが、スパルタ的に追い込む指導もされるのでしょうか?

やりますやります。大好きですよ、そういうの(笑)。30本くらい連続で蹴らせるとかね。ガチでやります(笑)。

なるほど。どおりで道場生が減るわけですね(笑)。(注:実際は増えています)

佐藤さんの指導が受けられる士道館・札幌道場では会員を随時募集中です。詳しくは公式WEBサイトへアクセス!

Photo & Text:山田タカユキ

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山田 タカユキ

山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。愛読書はさいとうたかおの「鬼平犯科帳」。
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