道内初のグレイシー直系黒帯が語る、辛口柔術哲学。 | オーバーリミット札幌・村田良蔵さん

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インタビュー第14回はブラジリアン柔術界の鬼才・村田良蔵さんにインタビュー。道内勢初となるグレイシー直系黒帯が語る、辛口柔術哲学。

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ナチュラルパワーの持ち主

村田選手はウェイトトレーニングをなさらないとか?

しないですね。柔術の練習の他にはヨガのスタジオで体幹のトレーニングをするだけです。僕は怪我がないのが取り柄なんですが、それは体幹というかインナーの筋肉を鍛えているおかげだと思っています。

ではプロテインといったものも摂らないんですね。

友達がくれたものをたまに摂るくらいです。基本的には必要性を感じていません。食事もほとんど外食ですからね。もともと力負けしたことがなかったんで、筋力や筋量を増やすといった発想がないんです。自分に合ったナチュラルな体重で戦うことに重点を置いてます。

力負けしたことがないといえば、茶帯時代には無差別級でも優勝されてますよね。柔術以前になにかスポーツ歴があったんですか?

全くないです。おそらく実家が漁師なんで、その仕事を手伝う過程で身についたパワーだと思います。

柔術を始めたきっかけは?

単純になにか運動をしたいなと思ったのが始まりです。でもフィットネスジムは続かない感じがしたし、武道の道場も見に行きましたけど、礼儀作法や伝統に厳しいのって性に合わないなと思って。 ブラジリアン柔術はそういった点はラフだったから「これだ」と思いましたね。

確かに伝統に縛られない自由さが柔術の魅力でもありますね。一本を取りにいく姿勢を見せないと良く思われないとか、飛び後回し蹴りのような 倒しには繋がらない技でも出さなければ褒められないとか。これをやれば勝てるのに、見えない伝統がそれをさせないといった事がないですから。

他の格闘技のことはわかりませんが、柔術に限って言えばそういった伝統はないですね。何色の帯を巻いてようが、口でなにを言おうが、弱い奴はあからさまに負けてしまう。うちの道場はその点で厳しいですから、他道場に出稽古に行ってもそれほど恥はかかないと思いますね。

ギムナシオンは帯の認定基準が非常に厳しいと聞いています。

ハワイの道場を回ったときも出稽古を申し込んだら断わられる道場があったんですよ。それって巻いている帯相応の実力がないって認めてるのと同じでしょ。実力が無いのに帯を渡される生徒も可哀想ですよ。認定する側も責任を持たないと。色帯でもたまにいますからね、拍子抜けするくらい弱いのが。「こんなことも知らないの?」っていうのが(笑)。

趣味は読書。特技は速読

村田選手は実業家としての顔もお持ちなんですが、1日をどのような流れで過ごされていますか?

早起きして会社には顔出すんですけどね、仕事は任せちゃってるんで決まった流れというのはないですね。極端な話、いつ帰ってもいいわけですから。「練習行ってくるから後はお願い」みたいな(笑)。

趣味があったら教えてください。

読書なんて好きですよ。経済について書かれた本、ビジネス書っていうんですか。お金の増え方とか社会のしくみとか・・・。本を買うのに月に3万円くらい使います。

それは興味深いですね。

土地があったとすると、その土地に家賃を払って借りている人がいて、その家賃を払うためにこれくらいの人件費におさえて、その差額で家賃を払って・・・みたいな 流れってあるじゃないですか。なんで時給八百円なんだろうとか。適正なのか適正じゃないのか。時給二千円にしたら何故まずいのかとか・・・。そういうのに興味があって、ガキの頃から学校の勉強はしないでそんなことばかり考えてました(笑)。

村田選手の学生時代ってどうだったんですか?

学生時代はヤンチャでしたね。ケンカもよくしたし。でも家に帰ってくれば普通でした。親に反抗する理由は見当りませんでしたから。

ご両親はどんな感じの方でしたか?

普通の家庭と比べるとちょっと変わった教育をしてくれましたね。 例えばガキの頃ってヒーロー物の服を着たがったりするじゃないですか。でもうちの親は「あんたはいいとこの子なんだから、これを着なさい」 って言ってバーバリーとかブランド物の服を着せてくれたんです。飲食店の行列に並ぶのも「みっともないからやめなさい!」みたいに、いいとこの坊ちゃん風に育てられました。

幼少の頃からバーバリーですか(笑)。

そう(笑)。でもね、俺って超プラス思考の人間なんです。砂漠でほんのちょっとの水でも「こんなにある!!」って思えるみたいな。そういったプラス思考を育てるのって親の教育が大切だと思いますよ。おかげでガキの頃から劣等感を感じたことなかったし、そういったことが現在のプラス思考に関係してるんだと思います。

なにか目標があったら、スタートからゴールまでプラス思考で貫かれているわけですね。

そうです。俺的には雲の上から全てを見渡している感じなんですけど、頭の中でゴールまでの道程をプラス思考でクッキリと描くことができますね。視点が違うっていうか・・・。だから会社の従業員に話をしても、うまく伝わらないときがあるんですよ。

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カリオカ氏との出会いで覚醒

柔術家としての矜持を持ち始めたのはいつ頃から?

ブラジル人の先生に習い始めてからです。その頃、山本キッド選手に指導していたクリスチアーノ・カリオカっていう先生が札幌に来ていたんです。 他の道場に招かれて滞在していたんですが、教える技術レベルが高すぎるのと、練習量がハードすぎて生徒がいなくなっちゃったんです。それだったら、お金払うから俺にマンツーマンで教えてくれって言って個人コーチをお願いしたんです。

個人コーチとして雇うとはスケールが違います(笑)。

月に5万くらい払ってたのかな。あとは飲み食いの面倒も全部見ると(笑)。その頃からですね、闘いにおける物理的な原理とかを考えるようになって、柔術に向き合う姿勢が変わったのは。ターニングポイントでした。

カリオカ氏と初めて手合わせしたときの印象は?

なにもできなかったですね。ボッコボコにやられました。打ち込みも何百本とやらされたし、間違った体勢をとろうものなら強烈に間接を極められて。そんな感じの練習を毎日朝晩やってましたよ。結局、半年くらい教わってたのかな。

カリオカ氏の指導で印象に残っていることは?

この攻防になったらどう動くのが100点満点なのか、そこを的確に教えてくれましたね。この体勢になったらこうするのが100点、この体勢だったらこれが100点みたいな感じで、満点を取るための答えを明確に教えてくれるんです。腕のどの部分を掴んでいるかとか、重心をどこに置いているかとか、肘のコントロールとかね。同じ体勢であっても細かいディテールに違いがあるんですよ。そういった部分は、それまでの仲間内でああでもないこうでもないって研究する練習では限界がありましたから。

村田選手の指導スタイルにも影響を与えてますね。

そうですね。理論的な解りやすさがある一方、多少の痛みも経験してもらいます(笑)。間違った体勢をとったらどうなるかっていうのを「痛み」で教えておくと、苦しいときでも反射的に正しい姿勢をとるものなんです。口でやさしく教えても生徒のためになりません。

一本とりきるのが柔術

ルーキー時代と比べると村田選手も丸くなったとの指摘がありますが(笑)。

昔は100%自分のためにやってたから、なにも考えずに相手を壊してました。だってタップ(降参)しないんだから(笑)。今はこれくらいの力で極めたら2週間で治る、これくらいだったら4週間で治るっていうのが分かりますんで、怪我をしないように優しく極めてあげれます。柔術は格闘技だし一本を取る競技なんだから、一本取りきる心の強さっていうのは大切だと思いますよ。

かけた方は一本取りきる。かけられた方は早めのタップがいいと。

一本取りきる度胸の無い選手とタップしない選手が戦ったら試合が終わらないじゃないですか(笑)。大会でもたまに見かけるんですが、技をかけている側が困っている場面ってあるんですよ。要するに「止めてくれないと折れちゃうよ」って哀願するようにレフェリーを見る場面が。でもそんなことする必要はないと思うんです。タップしなかったら折ればいいんですよ、そういうスポーツなんだから。

道内における柔術の競技人口はまだまだ少ないのが現状です。人口増加のためには何が必要だとお考えですか?

大会のあり方というのも関係してくるんじゃないですか。現状では参加するだけで色々と費用がかかりますから、結果として参加人数が減っているわけです。一方で比較的安く参加できる大会もあります。黒帯なんてタダですからね。だから大きな大会になると200人くらい選手が集まる。そうしたほうが逆に採算が取れてると思うし、 大会も盛り上がってますから、そういったやり方のほうが賢いのかなって最近考えますけど。

今後の目標はどういったところに置いていますか?

もっとたくさんの人に柔術の魅力を知ってもらいたいです。柔術って力じゃないんです。他の競技と比べてみても、パワーに頼らない技術体系を持っています。梃子の原理や人間の身体の反射の仕組み等を駆使して大きな相手とも戦える。女性でも自分よりも力のある相手から身を守ることができるセルフディフェンスの考えがベースにあるんです。故郷の網走にもサークルがあるんですけど、そういった地方にも柔術の魅力を伝えていきたいですね。

村田選手が代表を務めるオーバーリミット札幌では会員を随時募集中です。詳しくは公式WEBサイトへアクセス!

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Photo & Text:山田タカユキ

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山田 タカユキ

山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。愛読書はさいとうたかおの「鬼平犯科帳」。
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