坂本優起がSB王者として価値ある一勝:BOUT-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

bout15-sakamoto2

 今年4月に鈴木悟が持つシュートボクシング日本スーパーウェルター級のベルトに挑戦し、見事にベルトを奪取した坂本優起が、王者としてはじめて故郷・函館に凱旋した。

だが、新王者として故郷に凱旋というと聞こえはいいが、坂本の心中は穏やかではない。というのも、6月に行われた新王者としての大事な初戦を白星で飾れなかったからだ。この時の対戦相手はJ-NETの前王者・牧野智明である。

シュートボクシング協会主催興行で、団体の看板を背負った現役王者が、他団体の選手に負けるというのは聞こえが悪い。その汚名を晴らすべく是が非でも勝ちたい坂本。だが、今回立ちはだかる相手は正道会館の王者・平尾大智。またしても他団体の強豪選手だった。

平尾は正道会館の全日本選手権を制しているばかりか、関西のローカルイベント「ACCEL」ではキックボクシングのチャンピオンとして名前を連ねていた時期もある。J-FIGHT、ナゴヤキック、ホーストカップ等々のイベントを又にかけ、士道館王者・横山 剛をはじめとする他団体の上位選手との対戦経験も豊富だ。

しかも平尾は、坂本が敗北を喫した牧野と同じ長身タイプでミドルや前蹴りも器用にこなす。坂本が牧野とのリーチ差に苦しんだ末に敗北したことを考えれば、やりやすい相手とはいえないだろう。

そういった背景のある今回の一戦。もし、坂本が負けるようなことがあれば、他団体の選手に2連敗を喫したことになるばかりか、タイトル獲得後、一度も勝てていない不名誉王者としての姿を故郷・函館の観客に晒さねばならないのだ。坂本にとってはちょっとした試練の一戦といえるだろう。

1R、序盤から乱打戦が展開され、会場は一気にヒートアップ。リーチを生かしロングの間合いで戦うことが予想された平尾だけに、この展開は予想外だ。終盤、坂本が持ち前の回転と馬力で、やや優勢にラウンドを終える。

「進退をかける覚悟」で挑んだ平尾は2Rも前に出る。坂本の前進に合わせて繰り出す膝蹴りが絶妙だ。坂本もこの膝蹴りをものともせず前に出たのは立派。

逆に身長差を逆手にとってレバーブローを叩き込む。平尾の膝蹴りが功を奏したのか、坂本がロープを背負う場面が目立ったラウンドだった。

ほぼイーブンのまま迎えた3R。タイ人トレーナー・ダムさんが厳しい檄を飛ばすなか、坂本が勝負に出た。平尾が接近してくるのに合わせて執拗に投げを打つ。いずれも完璧には決まらずポイントにはならなかったが、起き上がる際の平尾の表情には明らかに疲れが見える。

中盤になると平尾の手数は目に見えて減った。だが、なんら攻撃を繰り出すわけではないのだが、坂本の胸元に頭を押し付けて決して後退しない姿には、この試合にかける平尾の覚悟が伺えた。

ハイライトは坂本のアッパーがアゴをとらえた場面。長身の平尾の腰がグラリと折れる。誰の目にも坂本優勢を印象付ける場面だった。判定はジャッジの1人目がドロー。そのまま延長に突入かと緊張が走ったが、残りの2人は坂本を支持した。

見事に王者としての仕事を果たした坂本は、試合後に観客へ挨拶。涙ながらに感謝の言葉を述べ、ようやくホッとした表情をみせた。今後は追われる立場としてなにかと気苦労が多かろうが、次回の凱旋も王者としての姿をみせてほしい。

この大会の全試合ダイジェストをみる>>

写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ

The following two tabs change content below.
山田 タカユキ

山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。愛読書はさいとうたかおの「鬼平犯科帳」。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

error: IPアドレスを記録しました。