ラスト1秒の奇跡 | 石澤、キック界への逆襲~BOUT-ZERO 1

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ノースエリア格闘技イベント BOUT-ZERO
2013年5月26日(日)コンカリーニョ

▼メインイベント RISE公式戦62kg契約3分3R
・石澤大介(パラエストラ札幌)
・キューピー(リアル・ディール)
勝者:石澤 2R 2分59秒 KO

和製ミルコの面目躍如たるKO劇

ラウンド終了のゴングまで残り1秒での出来事だった。

それまで完全に主導権を握っていたキューピーが、物凄い音をたてて筆者の目の前に崩れ落ちてきた。筆者からは石澤の身体が死角に入っていて、一瞬なにが起こったのか理解できなかったが、とにかく無我夢中でシャッターを切った。

結局、場内アナウンスを聞いてから、石澤がハイキックで試合を決めたことを知った。総立ちとなった観客の地響きのような歓声がリングを襲う。”和製ミルコ”石澤の面目躍如たる逆転KO劇だった。

▲当時作成した煽り画像。本州勢との対抗戦という構図は注目を集めた

負けは許されなかった大将戦

両陣営ともに一勝一敗で迎えただけに、絶対に負けられない試合となった大将戦。石澤はシュートボクシングの現王者からも過去にダウンを奪ったこともある豪打の持ち主。対するキューピーは新空手王者のタイトルをひっさげてプロに転向、KO率80%を誇るハードヒッターという強打者どうしの対決。

加えてこの試合は、RISEスーパーフェザー級6位の石澤対キューピーというRISE公式戦であると同時に、プロシューター石澤対キックボクサー・キューピーという他流試合としての側面もある。そういった背景のなか、いつ両者の”一発”が火を噴くかわからないスリリングな展開を見せ付けられた観客の感情が、堰を切ったように爆発した瞬間だった。

余裕の発言。キューピーの不気味

1R、手数、クリーンヒットともに明確な差はないものの、石澤に硬さが目立つのとは対照的に キューピーの動きは軽快だった。サウスポーからの強力な蹴りとノーモーションの左ストレートを軸に徐々に主導権を握っていくキューピー。

1R終了時でのインターバルで、キューピーはセコンドに対し「相手の攻撃は全て見えている」とハッキリ告げたという。その言葉を裏付けるようにキューピーは、再三、石澤のハイキックをスウェイバックでかわして見せた。

Qがローを増発。逃げ切り体勢へ

「和製ミルコ」の異名を持ち、ハイキックを代名詞とする石澤にしてみれば、自身のハイキックをスウェイバックでかわされることは、さぞかし屈辱的だったに違いない。1R終了間際にはキューピーがノーガードでの挑発を繰り返すに至り、場内には嫌な雰囲気が流れ始める。

2R、「自分の動きが悪くて、気持ち悪い感じでした」という石澤は、依然としてペースを取り戻せない。キューピーは左のローキックを増発し、さらなるポイントメイクを図る。が、この左ローキックが自身のKO負けを招く遠因となってしまった。

インターバルで”天の声”

2R終盤、キューピーの左ローキックを下腹部に被弾した石澤にレフェリーが暫しのインターバルを与える。そこで陣営は石澤に対し「時間がない。再開後すぐに終了のゴングが鳴るよ」と告げたのである。

このとき石澤は、この日のために磨きをかけてきた伝家の宝刀・ハイキックを、終了間際に繰り出しておこうと決めたのだという。

この日、右のリードフックを繰り出したときに限り、左手のガードが下るのがキューピーの”クセ”だった。試合再開後、パンチのフェイントから右のハイキックを繰り出す石澤。

このとき、石澤の”捨てパンチ”に釣られてキューピーが繰り出したパンチが、右のリードフックだったのである。左手のガードが下ったがら空きの首筋に、石澤のハイキックが綺麗な弧を描き巻きついていく。

上の連続写真は、当サイトが独占入手したKOの瞬間だ(パンチにあわせてハイキックを発射する石澤 → ヒットの瞬間 → 棒のように倒れるキューピー → レフェリーが即座にストップ)。

「絶対に倒すチャンスがくると信じていました」

キューピーの猛攻に耐え忍んだ末にチャンスをものにした石澤らしい勝利だった。

耐え忍んだといえば、BOUT参戦以降、苦杯を舐め続けてきたパラエストラ札幌陣営にとっても価値ある勝利だった。参戦当初、敗北に次ぐ敗北を繰り返しても撤退の道を選ばなかったパラエストラ札幌。

この日、リング上で主役としてスポットライトを浴びる彼らは実に輝いていた。今後も続くであろうパラエストラ札幌の”逆襲”から目が離せそうにない。

写真提供:BOUT実行委員会
photo & text:山田タカユキ

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山田 タカユキ

山田 タカユキ

1971年生まれ。おもに格闘技イベント「BOUT」に関するレビュー記事や、出場選手へのインタビュー記事を担当。競技経験は空手・キックボクシング、ブラジリアン柔術。愛読書はさいとうたかおの「鬼平犯科帳」。
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