”釧路の剛腕”・能登崇インタビュー | ノースキングスジム・能登崇さん

KO・一本勝ち率100%!!”釧路の剛腕”の異名を持つ能登崇が、GRACHAN北海道大会でも完全KO勝利でMVPを奪取。かつてZSTチャンピオン、レスリング全日本チャンピオンをマットに沈めてきた剛腕ぶりを改めてアピールした。プロキックボクシングではKrush《4戦2勝(2KO)2敗》、BOUT《2戦2勝(2KO)》で活躍。MMAにはプロ修斗でデビュー後から徐々にコンバートし、ここにきて2連勝2KO勝ちを収めている。

今、北海道で一番勢いのあるMMAファイター、能登の格闘技人生を振り返ると共に今後の展望をインタビューしてみた。

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先日の試合はお疲れ様でした。快心の一発でしたね。試合を振り返っていかがですか?

良かったですね。当たった感触はあまりなかったです。抜けた感じで。

やや頭を下げた左フックでした。

タックルフェイント入れてたんですよ。相手の反応はいいけれど頭動かさないから、下向いてからスッと。一瞬ガード下がったんでドンピシャで入りました。予想以上でしたね。

久保選手は全く見えなかったようです。

見えなかったら効きますよね。それは僕もよくわかります(笑)。

試合前の相手の印象はいかがでしたか?かなり計量から両者気合い十分でしたが。

見た目がスゴいじゃないですか。計量の時からゴリゴリで(苦笑)。最初から最後までずっと目を見てくるから、逆に緊張してるのかなぁとは思ってました。ただこの体に組んだら潰されるんじゃないかと思いましたけど、案外大丈夫でしたね。

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相手の試合映像を見た事はありましたか?

札幌でやったJMLの試合は生で見てました。爆発力が凄かったです。試合が決まってからはアウトサイダーの試合を全部見ましたね。意外に相手を研究するんですよ(笑)。

アウトサイダーだけではなく今年のアマチュア修斗全日本選手権優勝と、実績は十分でしたもんね。

ただアウトサイダーで1回、KO負けしてる試合があって、もしかしたらアゴが弱いのかなって。で、それを見たせいか頭の中でガッチリパンチが決まるイメージが出来あがりました。頭が動いてなかったからこれはイケるかなと。予想以上にイメージ通り決まりました。

ただ最初にパンチを当てたのは久保選手でした。あの時ニヤリと笑いましたよね?

試合ではいつもパンチ当てられると「おお!いいね!」みたいな(笑)。心理戦というか「出すのか?!出すのか?!当てるよ!?当てるよ!?」って楽しくなってくるんですよ(笑)。

前回の試合(BATTLE MIX10のソーキ戦)でも笑ってましたよね(笑)。

予想以上に笑ってて自分でも気持ち悪かったですね(笑)。普通、相手は笑わないんですけど、ソーキ選手が予想以上に笑い返してくるんで楽しくなっちゃって(笑)。今、映像見るとヤバいですよね(苦笑)。

ここで能登選手の格闘技歴を振り返りたいのですが、最初に始めた競技は何ですか?

高校2年の時に始めたボクシングです。辰吉(丈一郎)選手に憧れていたので、高校は行かないで上京してボクシングやりたくて。でも親が家業(漁業)を継がせたいので「頼むから高校行ってくれ」って(苦笑)。

ボクシングは何年ぐらい?

高校を卒業するまでですね。それで高校を卒業して鹿部で1年間、漁業研修をやってました。釧路に戻ってきた時、素人を集めた格闘技トーナメントみたいなのに出て(笑)。そこで優勝したらスカウトっていうか、地元の格闘技サークルに誘われて入りました。そこで5年くらいやってましたね。

そこのサークルはキックボクシングですか?

総合ですね。その時は寝技もガッチリやってたんですよ。

なるほど。かなり前から総合の下地はあったんですね。この頃から徐々にアマチュアでも存在感が出てきた印象があります。

チャレカラ(丈夫塾主催チャレンジカラテトーナメント)でたまたまKOを連発して優勝したら調子乗っちゃって(苦笑)。そしたらBATTLEMIXで阿仁鬼選手(現役最年長ファイターの異名を持つ北海道の人気選手)にボコボコにされてしまって…。やっぱり本物には勝てないんだなぁって思い知りましたね。

その後はキック専門?

そうですね。サークルが活動休止状態になったので釧路のキックジム、忠和会に入会しました。

当時、忠和会は和術慧舟會系列のジムでしたよね。ジムの力もありKrushに参戦していました。

Krushは4戦ですね。戦績は2勝2敗でした。デビュー戦はケガしてたのでランニングが出来なくて。スタミナが無いので1R勝負だと思ってたら、普通にサバかれてガス欠なっちゃって(苦笑)。最後はTKO負けでした。

当時の北海道でKrushに継続参戦しているのは能登選手だけでしたよね。2戦目はストレートでKO勝ち。そして3戦目は初代ZSTウェルター級チャンピオンの内村洋次郎選手でした。K-1MAXにも上がっている選手です。

2RにローでKOしました。攻撃を散らすのは上手いし、インアウトのステップは早いし、強かったですねぇ。でもサウスポーだったんですけどサウスポーは得意なんですよ。ローを入れやすいんですよね。だから踏み込んで来る足にローを入れ続けました。当時、毎日ローの素振りを千回やらされてて(苦笑)。

千回ですか(笑)!?

あれが活きましたねぇ。あの辺りから相手にバレないように蹴れる様になりました。

当時の目標はやはりチャンピオンでしたか?

あの頃はKrushでチャンピオンになりたかったですね。でも4戦目は1Rにフラッシュダウン取られちゃって。けっこう盛り返したんですけどダメでした。その後は北海道のBOUTで2戦(2勝2KO)やりましたね。

総合格闘技に転向を意識したのはいつぐらいですか?

元々、総合をずっとやりたかったんですよ。打撃、寝技もある総合が最強だと思ってたので。

所属していたジムを辞めたのを機に総合へと。

その頃に所属をノースキングスジムに変えました。アマチュア修斗で総合デビューしたんですけど、最初から総合格闘技家として戦いたかったので、タックルも積極的にいきました。

キックからの転向で苦労したと思いますが?

プロになってここ2戦ぐらいから、ようやくシックリきてますね。4月の東京でやったTTF(高橋弘戦。2R判定負け)で打撃を行きすぎてもダメなんだなと。タックル切り、バーピーも意識するように練習して。シャドーの時もいつでもタックルを切れるように、スゴく意識してやるようになりましたね。

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そもそも修斗のプロデビュー戦から強豪相手でしたよね?レスリングの学生全日本チャンピオンで、ユニバーシアード日本代表でもあった鈴木JAPAN選手。

プロデビュー戦、大物だったんで絶対食いたいと思ってましたね。下馬評で負けてると絶対にひっくり返してやろうという思いが強くて。みんなあの試合は僕が負けると思ってましたよね(苦笑)。

たしかに戦前は厳しい声が多かったです。実際、試合も終始下からの展開を強いられました。

相手が意外にハーハー言って息が上がってて、極められる気はしなかったですね。でも、さすがに最後は打撃で勝負だと思ってたんですけど、腕十字が極まっちゃいました(笑)。

腕十字は得意技?

腕十字は得意というか腕十字しか出来なかったです(苦笑)。

その後2連敗からの2連勝2KOとイイ感じで波に乗ってきましたね。今の目標はどこに置いてますか?

当面の目標はGRACHANでチャンピオンになりたいですね。盛り上がってスゴくいい大会だったし、こんなチャンス頂けたのでそこを目標にやっていきたいです。

ここに来て具体的に目標が見えてきたわけですね。期待しております。ここでちょっと格闘技以外の話題になりますが、お仕事は漁師をやられているんですよね?

はい。昆布漁がメインです。時期によっては牡蠣やったり。

1日のスケジュールはどんな感じですか?

3時半に起きて、5時から8時まで沖で昆布を抜き続けます。ハードで腕はパンパンなりますよ。だからいい筋トレになってるみたいで、冬より夏のほうがパワーありますから(笑)。その後は18時ぐらいまで昆布を干したり切ったり。天気の悪い日は漁に出ないので、選別やったりしてます。

かなりハードなお仕事ですねぇ。そうするとOFFの日の息抜きとかは?

家族と過ごす事ですかね。子どもは4人いて一番上は6年生です。格闘技に触れさせたくて柔道も剣道もやらせたけどダメでしたね(笑)。家族と温泉行ってる時が一番幸せです。

現在、地元の釧路を拠点にされていますが練習環境などはいかがですか?

早坂(優瑠)さんのコア(CORE QUEST KUSHIRO)が出来たのが有り難いですね。出稽古に行かせて頂いて本当に感謝しています。仲間としても頑張って行きたいなって思ってますし、釧路の格闘技も一緒に盛り上げて行きたいです。

地方でも練習仲間には恵まれていると。

はい、そうですね。今回はノースキングスの先輩方が事前に調子乗らない様にスゴく気を使ってくれました。当日もお世話になったのですが、 山本(辰弥)さんには減量法を教えてもらって上手くいきましたね。吉田(イサヲ)さんも試合前、毎回なんですけど沢山アドバイスをくれて。強くなってみんなに何か恩返し出来たらと思ってますね。

具体的に試合前のアドバイスなどは?

宇部先生(ノースキングスジム・宇部幸治郎代表)に頂いた戦略が本当ありがたかったです。後、ジムに復活した先輩の長谷川(匡志)さんと練習が出来たのも大きかったですね。

ありがとうございました。今後のご活躍に期待しております。

ありがとうございます!チャンピオンになる人って本当にスゴイというか普通の人間ではないと思いますので、僕も実力で勝ち上がってチャンピオンになりたいです。意外と歳食ってるんで頑張ります(笑)。

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写真提供:マルスジム
聞き手&text :マニー

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「D-SPIRAL×GRACHAN19.5北海道大会」レビュー
 2015年11月8日(日)札幌市・MARSGYM

早くからケージ&肘有りのユニファイドルールを取り入れていたGRACHAN。出場選手も元UFCファイターからインディーズファイターまで幅広く、バラエティに富んだカードが魅力だ。2年ぶりの北海道大会の注目は、先のアマチュア修斗全日本選手権を席巻した、間宮、飯田、久保の3選手。各々が強豪を迎え撃つ好カードが出揃った。

 

第3試合 73.5kg契約 5分2R
×久保昌弘(帯広レスリングクラブ/2015年全日本アマ修斗選手権ライトヘビー級優勝)
○能登 崇(ノースキングス)
1R 2’16” KO

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今大会注目の一戦。Krush、プロ修斗とキャリアを重ねてきた能登と、9月のアマチュア修斗全日本選手権優勝の実績を誇る久保が対戦。

開始早々、足を使って回るサウスポーの能登に対して、オーソドックスからスイッチしての右パンチを振っていく久保。パンチの打ち終わりにタックルへ切り替え、得意のテイクダウンを狙う久保だったが、逆に両脇を能登に差し返えされ、コーナーに押し込まれるとやや手詰まりに。

2分過ぎ、体が開いて正面を向く久保に能登の狙いすました左フックがクリーンヒット!仰向けに頭から倒れた久保を見てレフリーが即座に試合をストップ。

能登がこの試合で唯一放った左のパンチで久保を完全にKOし、大会MVPに輝いた。

セミファイナルフェザー級5分2ラウンド
○飯田健夫(マルスジム/2015年全日本アマ修斗選手権ウェルター級優勝)
×BG(ERUPT)
1R 4’31” アームバー

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今年のアマチュア修斗を地方予選から全日本選手権まで、オール一本勝ちの快挙で優勝した飯田。

この日もあっさりとテイクダウンからサイドポジションを奪取し、抜群の安定力を披露。そのまま得意のストレートアームバーを極め、全く危なげなく完勝した飯田が、試合後にマイクでGRACHANの岩崎代表へ、東京大会出場をアピールした。

 

メインイベント:ライト級5分2ラウンド
○間宮 晃仁(マルスジム)
×TAG(ERUPT)
判定2-0

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9月に行われたアマチュア修斗全日本選手権ミドル級で準優勝した間宮。5月のケージ大会REALでは、ブラジル人を圧倒し腕十字固めを極め完勝。他のインディーズ大会のタイトルも総なめにしてきた実力を、ホームとなった会場で発揮できるか。

1R、間宮が打撃でプレッシャーをかけて行くが、スクランブルの攻防を制したTAGに背中を預け、リアネイキッドチョークを極められかける、あわやの展開も。

2R、打撃の交錯後にテイクダウンを許すも、下から巴投げ、ラバーガードでプレッシャーをかけ続ける間宮。1Rでスタミナを使ったTAGの動きが落ちてくる中、足関節の取り合いから残り2分でトップを取った間宮が効果的なパウンドを落としていく。試合終了までトップポジションをキープした間宮が2-0判定勝ちするも、本人は試合内容に納得のいかない表情だった。

いまの仕事、このまま続けていていいんだろうか・・・・?

ジム・道場データ

 

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マニー

1977年生まれ。札幌市在住。MMAに関する記事全般を担当。競技経験はボクシング、キックボクシング、修斗、ブラジリアン柔術・・・etc。無類のネコ好きだが、2017年に猫アレルギーであることが判明した。